第16話 一波乱

森の中をひたすら走る。


次の依頼はオークの討伐だ。

繁殖能力が高く、他種族の雌を苗床にするため、討伐依頼が出やすく、とても強く集団で行動するためBランクの依頼となっている。


いやその前にちょっとお客さんだな。

俺は一旦走るのをやめ立ち止まる。


「おい、俺に何の用だ。いるのは分かってるんだぞ。」


この気配は明らかに敵意が混じっている。

目的は分からない。

最近つまらなさから"知覚者"の能力を制限してるためだ。


「バレちまったか。オークを倒して油断したところで殺ってやろうと思ったのに。」


「近くで張ってて良かったな。あの足の速さだと追いつくのでやっとだ。」


「オークを討伐するならここを通ると分かってたからな。予想通りだ。」


「やっぱりただのガキじゃねぇな。」


冒険者風の男が5人ぞろぞろと出てくる。


「お前ら俺を殺すのか?」


「あぁ、ここで死んでもらう。」


「ふーん、こんなことしてただで済むと思ってんの?」


「気にすんな。お前はここで死ぬからオークに殺されたことになるだろうな。所詮死人に口なしだ。」


「お前の情報は調べた。俺らが負ける訳はない。」


「ハイハイそーですか。ま、頑張ってねぇ。」


そう言って俺は俊敏力だけ手加減を解除する。

音速をゆうに超えた攻撃で5人の意識を刈りとる。

本当なら解除なんかしなくても勝てるが、それはほかの理由があるからだ。


ほら、まだ隠れてた3人が逃げ始めた。



全力で逃げながら3人は会話をする。


「おいおい、なんだよあいつ。話とちげぇじゃねぇか!」


「し、知らねーよ。なんだよあの速さ。目で追えなかったぞ!」


「くっそ、今は逃げるのに集中するぞ。とりあえず森を出て、「ふーん、それでどうするんだ?」


「「「¥○☆%#$!!!」」」


3人仲良く謎の言語を発し、驚愕の顔で俺を見る。


「いやんそんなに見つめないで。」


おちゃらけてみたが盛大にスルーされた。


「てめぇ!どうや、へぷッ!」


「おい、やつが消え、ゴフッ!」


「な、何がおき、ぐへっ!」


3人仲良く意識を手放せて良かったな。


こいつらを引きずってさっきの所へ戻り、8人を縛り上げる。


こちらはまた空間魔法を使って、異空間に収納する。

亜空間ではなく異空間なので、生物も入れられて時間も経過するものだ。


よし、これで完了。

やっとこさオークの討伐ができるぜ。


こいつらを差し向けたやつは分かっている。


はぁ、面倒くさ。

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