第11話 ランク試験(2)
ギルドを出てカレナ薬局へ向かう。
後ろをスタスタとトーマスさんとハルナさんがついてくる。
カレナ薬局に着いた。
扉を開けるとそこには薬品やらなんやらが沢山置いてあり、奥に若い女の人が座っていた。
「いらっしゃいませ!お使かなぁ?」
「いいえ、薬草採取の依頼に来た者です。」
「あー、随分若い冒険者さんですね。今から説明しますのでよろしいですか?」
「はい、お願いします。」
「えーとですね。こちらの絵がへステ草の絵になります。こちらを10株お願いします。傷がつくとダメなので丁寧に採取してきてください。東門を出てすぐの森に生えてます。あまり奥に行かなくても生えてますので、奥に行って強い魔物に襲われないように気を付けてください。特にあなた弱そうなので。」
「大丈夫ですよ。ただの子供ではありませんので。」
「そうですか。それではお願いします!」
「了解です。」
そう言って店を出て、東門を目指す。
東門を出ると奥に森が見える。街道に沿ってその森を目指す。
「そういえばハルナさんは魔物の出る森に入って怖くないんですか?」
「いいえ、何回もランク試験で入ったことがあるので大丈夫ですよ。それに私結構強いんですよ。お2人には全く及びませんが。」
「意外ですね。」
「ウィンは随分のんきだな。初めての依頼で緊張しないのか?」
「いや、そうでも無いな。」
「かぁー、最近の子供は優秀だな。」
森に入り気を引き締める。
フリをする。
実際スキルで魔物の位置を全て把握してるため、全く気を引き締める必要は無い。
なぜならただ魔物のいる所を避ければいいだけだから。
そうやって薬草が群生している所にたどり着いた。
草を傷つけないように採取していく。
「おいおい、お前迷いなくここに来やがったな。ここに生えてるってこと知ってたのかよ。」
「まぁな。」
「この森はガキが来る場所じゃねぇんだがな。」
「…。」
返事はせずに黙々と採取していく。
ん?なにか来るな。
魔物に見つかったか。
仕方ない戦うしかないか。
「ん?もう終わったのか?」
「いや、ここに魔物が来る。」
「なんだと!?そんな気配は…、いや感じるな。こいつは強いぞ!」
しばらくするとそれは姿を現した。
虎がふたまわりほど大きくなったような見た目だ。
確かAランクの魔物であるヒュージタイガーだ。
名前が巨大な虎という安直ぶり。
「な!ヒュージタイガーだと!」
ガアアアアアアアアアアアア
ヒュージタイガーが咆哮をあげる。
「クソ!おい!2人とも!こいつはお前らじゃ勝てねぇ。2人で逃げろ。」
「あ、あ、そ、そんな…。」
ハルナさんは腰が抜けて逃げられそうにない。
俺はそんなことお構いなにし虎へ突っ込んでいく。
「おい!ウィン!止せ!」
止めません。
一気に虎へ距離を詰め、一瞬で首を刈る。
こんな雑魚が俺に敵うわけないだろ。
トーマスは鯉みたいに口をパクパクさせている。
ハルナさんにいたっては魂がぬけたように呆然としている。
俺は彼らを無視して残りの薬草を採取していく。
バッグは持ってないので素手で持って帰るようだな。
「おら!2人とも行くぞ!」
「「あ、は、はい。」」
2人とも歩く気力はあるようだ。
無言で俺の後をついてくる。
そのままカレナ薬局へ直行。
薬草を渡し完了報告。
ギルドに向かう。
おいおいまだ正気に戻ってねぇのかよ。
ギルドに到着した。
だいぶ人が多いな。
「は!もうギルドか。」
「は!もうギルドに着いたんですか。」
2人はやっと現実に戻ってきた。
「最後の試験は何になるんだ?」
「いやもういいわ。魔物との戦闘をやらせようと思ったんだがあのザマだしな。」
「そうか。なんかすまんな。」
「いや逆に俺が感謝しねぇと。」
「わ、私も感謝します。ありがとうございました。」
「いえいえ、気にしないでください。」
「じゃあ俺はこの事を上に報告してくる。ハルナはこいつにBランクを与えてやってくれ。」
「は、はい。ではウィンくん。手続きをしますので少々お待ち下さい。」
パタパタと受付の中へ走っていった。
しばらく待っていると手続きは終わったようだ。
「ウィンくん。お待たせしたした。こちらがギルドカードになります。ここに血を一滴垂らしてください。」
渡された針で指に穴を開け、血を垂らす。
「ありがとうございます。ギルドカードはご本人様しか使えませんのでお気をつけください。なくした場合は再発行となり、500モルかかります。なくさないでくださいね。」
ギルドカードにはランクと名前、依頼の欄があり、裏には大きくギルドの紋章が描いてある。
「今日はもう遅いですが、依頼は受けられますか?」
「いや大丈夫です。」
「かしこまりました。それでは明日から頑張ってください。」
「はい、今日はありがとうございました。」
そう言ってギルドを出る。
そしてギルドの裏手にある宿へ向かう。
宿に入ると冒険者でごった返していた。
ガヤガヤうるさいな。
受付へ向かう。
「いらっしゃい。何泊だい?」
中年のおばちゃんだ。
「とりあえず1週間で頼む。」
「あいよ。600モンだが、ギルドから引き落とすかい?」
「あぁ、それで頼む。」
「あいよ。2階の206号室だよ。飯は下の食堂で、風呂は銭湯にでも行きな。」
「了解。」
とりあえず部屋へ向かう。
ドアを開けるとそこは4畳ほどの空間で小さめのベッドが置いてある。
そのままベッドへダイブ。
疲れからか直ぐに意識を落とした。
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