第7話 魔封じの洞窟

閉じ込められている部屋の壁を思いっきり殴る。


「オッラァ!」


ドゴオオオオオオオオオン


少し拳がヒリヒリするが無事岩の壁に大きな穴が空いた。


わお!?踏ん張って殴ったら床がバキバキになっちまったよ。

さすがステータス1万越え。


そしてそこから外を伺う。

外には身長が4m程のゴーレムがうじゃうじゃ居た。

この魔封じの洞窟は吸収した魔力を魔晶石に集め、そこからゴーレムを生み出す機能を持つ。またとてつもない広さを誇り、出るのに約1年かかるようだ。


父さんはまだ生きている。

実は父さんを助けるために、さっきから念話で各国に、ヒュドラ出現を知らせている。

すぐにでも各国のギルドに伝わりS級冒険者が集結するだろう。

それが間に合うことを祈るばかりだ。


なので焦ってここを出てもどうせ俺は間に合わない。あせらずここを出ることにしよう。


とりあえず、ここの周りにいるゴーレムの首をへし折って倒していく。

まぁ8体くらいなら瞬殺だな。

ここのゴーレムは魔法を使えないので、ステータス1万越えの俺に取っては雑魚にも等しい。高いステータスを使いこなすための準備運動代わりだ。

洞窟の地図は頭にあるため、あとは迷路を攻略するように進み、時折ゴーレムを倒せばいいだけだ。

サクサク行こう。












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ゴランバーグ視点


「ウィン!そこから離れろ!!」


とっさに叫ぶが息子は光に包まれ消えていった。

くっそ!ウィンはどうなったんだ。生きてるのか。心配で心配で仕方ないがそうも言ってられず次々に繰り出されるこの9つの首を持つ魔物の攻撃を避けていく。

やばいもうウィンが張ってくれた結界がないため、自力で避けるしかない。

どうすればいい。打開策が全く思いつかない。

こっちからの攻撃は全く通じないし、魔法も効かない。

そうだ!会話だ。さっき息子を消す時に確かに喋っていた。

いちかばちかかけてみるか。


「おい!聞こえるか!こっちに敵意はない。攻撃をやめてくれないか!」


攻撃が止んだ。


『テキイハナイダト。シラジラシイ。オレニケンヲツキタテタクセニナニヲイッテイル。』


よし!まだ会話の余地はある。


「それは済まなかった。突然現れたから驚いて攻撃してしまった。」


『フン、マアカンケイナイ。キサマヲケスコトハモウキマッテイル。サキホドノモノトオナジクナ。』


「何!ウィンはもう死んでしまったのか!?」


『フハハハハハ。マダイキテルダロウ。シカシシバラクスレバガシスルダロウナ。』


「な!ウィンは規格外なんだぞ!すぐにでもここに戻ってくる!」


『ソンナワケナカロウ。ヤツハアノバショデハマホウハツカエナイ。アソコカラデレズニイッショウヲオエルノダ。』


「そんな馬鹿な!ウィンをどこへやった!」


『マフウジノドウクツ。タトエアノカタデモデテハコレナイダロウ。モチロンヤツデハフカノウダ。』


魔封じの洞窟だと。聞いたことも無い。だが名前からして魔法が使えないのだろう。ウィンは無事なのだろうか。

しかしあの方とは?


「あの方とは誰のことだ?」


『フン、キサマノシルコトデハナイワ。ヒトツダケオシエルトスレバ、オレハアノカタノケンゾクデアル。キサマラガカテルドウリハナイ。』


「なんだと!?」


『アノカタカラキサマラノハイジョヲメイジラレテイルノデナ。ワルクオモウナ。』


そうやって言うと同時にまた攻撃を繰り出してくる。

くっそきついな!


「ゴラン!」


後ろから愛する妻の声が聞こえる。


「セレン!危ないから下がってろ!」


畜生!セレンを守りながらの戦闘はきついぞ。


やばい!やつがあのブレスの体勢に入った。

あの角度は、狙いはセレンか!


そうと分かると全力でセレンのそばに行く。


「セレン。すまない。君を守れそうにない。ウィンも守りきれなかった。」


「いいのよゴラン。あなたは立派な騎士よ。何があったかは知らないけど、ウィンは生きてるわ。」


「そうだな。セレン、愛してるよ。」


「ええ。私もあなたを愛してる。」


セレンを腕の中に抱き、やつに背中を向けた。気持ちだけでもセレンを守るように。

ウィン。どうか生きていてくれ。


瞬間音が消え、意識は途切れていった。

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