第5話 ヒュドラ

俺は10歳になった。


正直強くなりすぎた感がすごい。

ステータスを見てみよう。

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ウィンバルド・スフィンドール

人間

10歳

職業:無職

HP:158

MP:309

攻撃力:156

俊敏力:154

体力:158

魔攻撃:267

防御力:158

魔耐性:260

魔法:ステータス魔法(中級)、火魔法(最上級)、結界魔法(最上級)、水魔法(最上級)、土魔法(最上級)、光魔法(最上級)、雷魔法(最上級)、風魔法(最上級)、空間魔法(最上級)、治癒魔法(最上級)

オールウェイズスキル:"加護"

ユージュアリースキル:"言語理解"

オーフンスキル:"無詠唱"

サムタイムズスキル:"熱操作""進化"

ネバースキル:"戦闘者""支援者"

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自重をしないままいたらこうなってしまった。

成人男性の平均ステータスが20〜30であることを考えると異常である。"戦闘"と"支援"で色々スキルをゲットしていたら何故かスキルが進化してしまった。それに魔法もほとんど最上級って…。

父さんはもう相手にならない。


「そんなことないぞー!」


勝手に俺の思考に入ってくるのはやめてほしい。




俺らは今馬車に乗って街道を走っている。

家族で旅行に出ていたのだ。旅行先は王都で今はその帰りだ。

王都はやっぱり王城だったな。本物は違うなぁって思ったよ。シンデ〇ラ城とは大きさが違うぜ。


「あっ、ウィン!アルテが見えてきたわよ!」


母さんはしゃいでるな。


俺の済む町アルテが見えてきたようだ。

やっと家につ……


「「うぉ!」」「キャ!」


結構揺れるな。今も揺れてる。


あっ収まった。いきなりすぎて父さんと一緒に情けない声が出てしまった。


「お客さん、大丈夫ですかね。」


馬を引くおっちゃんが訊いてきた。


「え、ええ、なんとか。」


父さんが応える。


にしても地震なんて珍しいな。ここら辺じゃ滅多にお……


バキバキバキバキバキバキ


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


「「「うぉっ!落ちるーー!」」」


「キャーーー!!」


ドドドドドドドドドドドドドドドドド


一気に地面が陥没した。そこから俺らは荷馬車ごと落ちていく。地面は真っ暗でそこが見えない。

俺は咄嗟に母さんに手を伸ばす。ここから落ちたらステータスが一般人並の母さんは死んでしまう。

父さんはまぁ俺と鍛錬し始めたらさらに強くなったから大丈夫だろう。



ドォォォォォォォオオオン


やっと地面に着いた。結構な高さだったのか少し足がビリビリする。

あぁ母さん気絶してるよ。


「ウィン!大丈夫か!」


父さんはやっぱり無事なようだ。まぁ経験が俺とは違うから上手く受け身を取ったんだろうけど。


「うん、なんとか大丈夫だけど、母さんが気絶しちゃった。」


「うん、この高さなら仕方ない。怪我さえなければいい。」


「あれ?そういえばあのおっちゃんは?」


「ん?確かにどこに落ちたんだろう。」


見渡してみるが見当たらない。


「おぉーい!お客さーん!上です上!」


あれおっちゃん落ちるの回避したな。


「町に行って救助を連れてきますのでしばらく待っていてください!すぐ連れてきますから。」


「お願いします!」


父さんが返事すると町へ向かっていった。

さて、ここはなんの空間なんだ。地面に何故こんな空洞ができてるんだか。


「ダンジョンじゃないかこれは。

おそらく地震によってダンジョンの天井を支えていた柱かなにかが折れてしまって天井が崩落してしまったのだろう。」


「ダンジョンか。父さんは入ったことある?」


「ない。基本的ダンジョンに潜るのは冒険者だからな。騎士はそんな事しない。だからできるだけここを動かないようにしよう。動くと危険だ。」


「う、うん。」


グガアアアアアアアアアアアアアア


な、なんだこの声は!

と思う間もなくそいつは姿を現した。

ベビのようなビジュアルだが胴体がまるまる太く、首は9つある。


うん、ヒュドラだな。


て言ってる場合か!


「おい!ウィン母さんを守れ!こいつは俺が倒す!」


「父さん無茶だ!」


「無茶じゃない!オラァァァァァ!」


父さんが剣を振るう。


ガキィィィィィィィン


「クッソ!硬ぇ!」


父さんが剣を振るうも鱗には傷一つつかない。


ヒュドラがブレスを吐き父さんは間一髪逃げる。

しかし9つの首から放たれるため避けきれない。

父さんに結界魔法で結界を張る。

そこにブレスが当たるが破れない。

よし!やっぱ最上級結界は違うぜ。


「おぉう!サンキューウィン!助かった!」


「父さん!俺が援護するよ!」


「無理すんなよ!」


それは父さんに言いたい。

やっぱり父さんが剣を振るうも斬ることが出来ない。


なら俺の魔法で潰してやる。最上級魔法がほとんどなんだぞ俺は!


貫通力の高い光魔法を放つ。


ピュン…………キィン


あれ?効いてない。

まぁ別の魔法を使おう。

火魔法の最上級エクスプロージョンだ。


ドガァァァァァァアアアアアアンンン


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


あっ、爆発の余波でさらに天井が落ちちゃった。

でも父さんにはまだ結界を張ってあるから父さんは大丈夫だろう。

これでヒュドラを倒せたか?


グガアアアアアアアアアアアアアア


バァァァァァァァァァァァアアンン


あれ?生きてた。

全く効いた様子はなく、ブレスで瓦礫を吹っ飛ばした。


傷一つないのはショックだなぁ。


「ウィン!多分こいつには魔法が効かない!」


はぁ!?おいおいおい困ったな。物理攻撃しかないのか?


父さんは現在進行形で攻撃を加えているが、全く効いてない。

ヒュドラはイライラしてきたのか、首をもたげて何かの準備に入った。


やばい!あれはやばい!俺の直感がそう言ってる。

母さんを遠くに寝かせて結界を張り、父さんのところへと急ぐ。


そしてスキルを発動。

"支援者"に含まれるスキル"絶対防御"だ。絶対に破られない結界を張る代わりにこちらから攻撃が一切出来なくなるスキルだ。

一応その外側に最上級結界を張ってみる。

そしてその攻撃は来た。

9つの首から1つの凄まじいエネルギーを含んだ恒星のごとき眩しさとともに放たれた。


瞬間音が消えた。





バッゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ「ぐぅー!!」ォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオンンンンンンンンンン






「ハァハァハァハァ

なんとか耐えられた。」


「おいおいおい何だこの攻撃!?」


周りを見渡してみる。

よし母さんは無事だ。

だけど地面は大きく抉れ、俺らの周りは瓦礫が一切なくなり凄まじい大きさのクレーターができている。地面は溶けていて、ところどころが赤くなっている。

案の定スキルの外側に張っていた最上級結界は破れていた。

なんちゅう威力だよ!


「ウィン!すまない俺だけで倒せそうにない。手伝ってくれないか?」


「もちろんそのつもりだよ!」


「そりゃ百人力だ。」


「よしゃあ!」


と思って一歩を踏み出すと地面が光った。


「ん?」


『オロカモノメ。オレノモトカラサレツヨキモノ。』


その声を気にすることなく全身が光に包まれた。


「ウィン!?そこか……………


ヒュン


俺は父さんの言葉を最後まで聞くことなく浮遊感に包まれた。

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