第24話 引っ越しの仕事。
眠い… 気が遠くなるように眠気が…
体のダルさから疲労困憊から眠気が襲ってくる…
疲れるとすぐ眠くなる…
久しぶりに引っ越しの仕事に入った。
短時間だから入ってみるかと。
今日はあいにくの雨だが。
けっこう降っているのだが。
現地集合なのでグーグルマップを見ながら道をなぞってゆく。
5階。ならエレベーター付いてるだろう。
これか。
公団住宅──
もしかするとこれって、ベーターなしじゃ…?、
たまに入ると決まってエレベーター無しのケースが多い…
現地に到着すると先に来てた方々が1台目を終えていた。
髪はじっとりと濡れ肩からは湯気が出ている。
もちろん雨で濡れたのだろうが大量に汗をかいたようにも見える。
上着を脱ぎいつでも動けるように備える。
濡れるのだろうな、
1階の軒下から目の前を淡々降る雨をじっと見つめる…
開始の合図を一刻と待ちながら
先に来ていた方々の小休憩が終わり作業が再開される。
トラックからの荷を渡され狭い階段をかけ上がってゆく。
久しぶりの引っ越し作業だ、
小回りに階段を上ってゆく。
団地独特の雰囲気。
つめたい印象を感じさせる硬いコンクリートの造り。
各階ごとに垣間見える吹き抜けた外の風景。
上に上るほど空の面積が広がってゆく。
なんだか懐かしい
昔住んでた社宅を思わせる──
キツイ、キツイぞ!、
感覚でもう5階だろ、と思って階表示を見上げればまだ4階、もう1階がキツイ、もう1階上るのにリミッターが振り切れる、、
一回上っただけでもうフラフラだ、ヘロヘロだ、
息も絶え絶え心臓が破裂しそうだ、
ふくらはぎにジワーとした疲労感が出てくる、
ステーキでいうなら肉汁のように疲労汁が出てくる、
きっと疲労汁は苦いことだろう、
もしくはすっぱいか?、
肩を落として振り子のように階段を下りてゆく、
今この体の重心を支えてるのがどこなのかわからなくなるほどだ、
骨抜き状態のようだ、
腑抜けた状態だ、
今自分の体を支えているものはなんだろう?、
1階に到着し次の荷を抱きかかえる、
抱き抱えることをインプットされてるように自動的に抱きかかえる、
抱きかかえるというか、むしろ自分のほうがコアラのように抱きついているのかもしれない、
落とさないように、ぶつけないように、
しっかりと抱きついているのかもしれない、
膝を弾ませ、息を弾ませ、また螺旋のような階段を上ってゆく、
もうそろそろだろ、
と見上げればやっぱり"4"と表示されてて、気持ちが折れかかってゆく、
折れかかったところを踏ん張ってゆく、
開かれた扉を目指す、
ゴールはもうすぐだ、一面クリアはもうすぐだ、
(ここでドルアーガの塔を連想する自分はかなりアナログだろうか?)
靴を脱ぐのもたどたどしくなる、
誰かの靴を踏みつけながら玄関を抜ける、
折り返しの下りは重力に任せ、
重力に身を任せて落ちてゆく、
曇った空に曇った内壁湿りに包まれた肉体、
芯だけが熱を持ちただ上を目指すだけ、
目指すだけ、目指すだけ、
何もかも忘れて上を目指す…、
気持ちでしか体が動かない、動かせない…、
やっぱ引っ越しキチ〜ッ!、
やっぱ引っ越しキチ〜ッ!、…
小休憩にお客さんからの差し入れ、
それにお菓子も。
年輩の方だから心遣いも配られている。
おはぎはムリっス。重すぎるっス。
あとは段ボール類だけだ、
もうひと頑張り、もう一息───、
眠い… 意識が遠のきそうだ…
満身創痍…
ショピングモール内のベンチでしばらく虚脱感にふける。
意気を吹き返すにはもう少し時間がかかりそうだ──。
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