灰になった世界で

ウキイヨ

第0話 プロローグ

荒れ果てた大地を走る一台の車は、男兵士2人を乗せて。

気を紛らわそうとする様に、陽気なジャズが、

ノイズを交えてダンスを踊る様に、車内に流れている。


十数年前に、起きた戦争が、原因で、植物達は、枯れ。

この地に住む人間は、街事消し去った。


もう何時間走っているだろうか。

無口な相棒を、助手席に乗せたまま。

只管この先に、或ると言われた目的地を目指す。

「しかし隊長も、理不尽だよな。俺ら2人で、こんな荒地に行って来いなんてさ」

話を振ったつもりだが、やはり返事が返ってこずリードは、深く溜息を吐いた。


二人にとって、今回の任務は、特別な物であった。

かつて栄えたこの地で、起きた大事件の真相を、

解き明かす事が、今回の任務。

それは、勿論危険を伴う物であり、

この地は、政府からも立ち入る事が、禁じられている未開の地の探査。


リードは、憂鬱では、あるものの。

胸に期待を抱いていた。

何十回と、リピートされたジャズに、いつしか慣れた頃。

辺りには、恐らく動物で在ろう骨と、瓦礫の山が見え始めてきた。


それから約二時間程走った頃、車は、大きなドームの前に、辿り着いた。


ドームは、朽ち果てては、いるものの

まだ原型を留めている。何十年前の物だろうか。

此処が、彼等の目的地。


車を降りて、ピストルの準備と、懐中電灯を手にすると、

無口な相棒と共に、中の探索が始まった。


当然電気は、通っておらず扉を開けた瞬間。

異様な空気と、匂った事のない悪臭が、漂っていた。

行くぞ。無口な相棒は、懐中電灯で、前を照らしながら進んで行く。

リードも後を追って、進んで行くと、壁には、血の後や肉片がこべりついている。


リードも、相棒も幾度となく戦場を駆け抜けては、来たものの。

これ程の場所は、初めてだった。


少し進んだ先に、大きな広場に辿り着いた。

此処には、先程と同じく恐らく動物達の骨が散らばっている。

動物達の骨を観察していた

リードは、察した。

ここで、起きていた事は、間違いなくとんでもない事だと。



動物達の骨の中に紛れ、人間の骨も混ざっている。


無口な相棒は、周囲を見渡し更に奥まで進んで行く。

待てよとリードも追いかけ、広場を後にし、更に進んで行くと

大きな扉に、辿り着いた。


この扉から、ドームに入ってから感じていた異様な空気以上の物を感じた。

心して行くぞ。リードは、相棒に、合図を送り

ゆっくり扉を開ける。


銃を構え中に、入った二人は、思わず立ちすくんだ。

ライトに照らされたモノ。

言葉にならない恐怖。


リードの口から、零れた言葉は、こうだった。

「なんだよ・・・。・・・。」

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