第23話 ミニスカポリス戦士ポピポヨ

 DSP[デビルスペシャルポリス]の宿舎では、鬼一きいちと小太郎が岩法師いわほうし阿倍仲麻呂あべのなかまろの件を説明していた。

 その隣では、虎之助とらのすけと狂四郎がばんごはんのトンカツ定食を食べている。

「では、左近さこんが助かる可能性が、あると言う事ですか?」

 うれしそうに岩法師が聞く

「そうだ。安倍さんも付きって京都まで行ってくれている。だが、芹沢せりざわさんとはいえ出来ない事もあるので、期待しぎてはいけない」

 鬼一きいちは、慎重しんちょうである。

「俺は、姉さんになぐられて気をうしなっていたので、良くわかりまへん」

「小太郎が拙者せっしゃを、毒殺どくさつしようとしたから当然とうぜんでござる」

「お前ら、いつも殺し合いしてるな」

 あきれ顔で狂四郎が言った。

「お前のように女にうつつをかしてる、ド阿呆あほに言われる筋合すじあいは無いわ!」

 小太郎が切れて言い返す。

「何だと!この田舎いなかざむらいが!」

「こらこら、2人とも喧嘩けんか駄目だめでござるよ」

 虎之助とらのすけが2人を、なだめる。

「うるせぇ!Aカップ貧乳ひんにゅう娘はだまってろ!」

ブチンッ!!

 狂四郎の台詞せりふにブチ切れた虎之助とらのすけは、ミニスカポリス戦士ポピポヨに変身して

貴様きさまら全員、逮捕たいほして銃殺じゅうさつするでござる!」

 と、拳銃けんじゅうふりまわして怒り出した。

「こりゃマズい」

 鬼一きいちと岩法師が、あわててミニスカポリス戦士ポピポヨを押さえつけるが、なかなかポピポヨの怒りはおさまらない。

「お前らも手伝てつだってくれ!」

 岩法師に言われ、小太郎と狂四郎も喧嘩けんかを止めて、ミニスカポリス戦士ポピポヨを止めに入った。

「姉さんあばれるから、パンツが丸見まるみえでっせ」

 あばれるポピポヨを、止めながら小太郎が注意すると

「これは見せパンじゃないので、見たやつはブチ殺して地獄に落とするでござる!」

 ますますポピポヨがおこり出した。

「こら小太郎!よけいな事を言うな!さらに怒り出したじゃないか」

 小太郎は岩法師に怒られた。

「すんまへん。でも見られていややったら、ミニスカートいてあばれたら駄目だめですやん」

拙者せっしゃ家柄いえがらは、ミニスカートをいてあばれるのが、正式せいしき作法さほうでござる!」

「そんな家柄いえがらがあるか!」

 岩法師の怒鳴どなり声が聞こえる。

 DSPの宿舎では、敵もないのに修羅場しゅらばとかすのであった。



「よく来てくれたの」

 ライアンとマーゴットーそれにアンドロポプまで集まったので、リンゼイ老師は上機嫌じょうきげんである。

 アーナブとマニッシュも体調は万全ばんぜんであり、戦闘態勢せんとうたいせい完璧かんぺきであった。

「今度こそ、あの小娘をぶっ殺してやる」

 一度、ひどい目にあったアンドロポプは、息巻いきまいている。

「いや、あの娘は俺にらせてくれ。あやうく毒殺どくさつされかけたんだ」

 アーナブも、やる気である。

「じゃ、あの小娘は二人にゆずるよ。俺は他のDSPの転生者をる」

「良いのか、ライアン?」

「俺は別に良いよ」

ーー本当は、あの小娘には勝てる気がしないだけなんだけどな。だが、結局けっきょくはリンゼイ老師が何とかするだろうーー

 本音ほんねはリンゼイ老師ろうしだのみのライアンである。



「あいつらDSPをおそうつもりだな」

 リンゼイ老師達が集まっているホテルに、完全に気配けはいを消して見張みはっている者が居た。

 処刑鬼隊しょけいおにたい別働隊べつどうたい穏形鬼おんぎょうきである。

「これは霊気れいきさんに報告せなば」



面倒めんどうくさいやつらやな」

 穏形鬼おんぎょうきから報告を受けた霊気れいきは、普段ふだんあまり使って無い頭脳をフル回転させて対策たいさくった。

「よっしゃ!とりあえず、今日は阪神はんしん競馬場けいばじょうで勝負や。勝って北新地きたしんちで飲みあかすで!」

 と、今日も結局けっきょく、ギャンブルと酒の日々を過ごすのであった。



 京都警察病院では、搬送はんそうされた左近さこんの病室で、安倍兄弟が話し合っていた。

「兄さん、左近さこんの件を芹沢せりざわさんにたのみたいのですが」

 安倍あべ康晴はるやすは、兄の安倍あべ賢靖けんせいに相談した。

「確かに、阿部仲麻呂あべのなかまろ融合ゆうごうした左近さこんから阿部仲麻呂あべのなかまろを、おはらいする事が出来るのは芹沢せりざわさんだけだが、お前も芹沢せりざわさんの性格は知っているだろう」

ーー転生前の芹沢鴨せりざわかも傍若無人ぼうじゃくぶじんであり、あまりにも危険な男であったため、部下である新選組しんせんぐみ隊士たいしに暗殺された。しかも、土方歳三ひじかたとしぞう沖田総司おきたそうしなどの手練てだれが四人がかりでつぶれている芹沢せりざわを襲い、やっと殺す事が出来たと言われているほど超危険人物であるーー

「まあ、ある程度ていどの事はうわさで聞いているが、それでも芹沢せりざわさんにしか出来ない事なので。とりあえず、今は俺の術で仮死状態かしじょうたいにしているところです」

「まあ、左近さこんとは面識めんしきもある事だし、一応いちおうたのんではいるんだが。やってくれるかどうかは、芹沢せりざわさんの気分きぶん次第しだいだな」

 京都DSPの転生者は、鬼神きしんひきいる鬼の精鋭せいえいと渡り合える猛者もさそろっており、渡辺綱わたなべのつなを始め芹沢鴨せりざわかも伊藤いとう一刀斎いっとうさい念阿弥ねんあみ慈恩じおん等、ひとくせある者が多く顧問こもんである安倍あべ賢靖けんせいでも、そう気安きやすたのみ事は出来ないのである。



 岩法師がステーキをおごるという事で、やっとミニスカポリス戦士ポピポヨの機嫌きげんなおり、岩法師は小太郎と狂四郎とポピポヨを連れて、北区のステーキハウスに来ていた。

「やっぱり和牛は、美味うまいでんなぁ」

拙者せっしゃ達の時代は、牛肉なんか食べれなかったでござる」

 んな上機嫌じょうきげんでステーキを食べている。

虎之助とらのすけ。お前の気の短さは何とかならんのか?」

 ポピポヨの機嫌きげん見計みはからって、岩法師がたずねた。

「何を言ってるでござるか。拙者せっしゃは気が長くておだやかな性格でござるよ。ちまたでは、地蔵菩薩じぞうぼさつと呼ばれてるでござる」

「すんまへん。そのジゾウ何とかさんのことりまへんので、バイきんたとえてくれまへんか」

 小太郎は地蔵菩薩じぞうぼさつの事を知らないようだ。

「ええっと。それじゃ、拙者せっしゃちまたではバイきんと呼ばれてるでござる」

「へえ、そりゃすごいでんなぁ」

 何故なぜか小太郎は感心かんしんしている。

ーー相変あいかわらず、コイツらは馬鹿ばかだなーー

 と思う、岩法師と狂四郎であった。

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