手紙

@maple_circle

第1話 結界

 人というモノは、知らないうちに「結界」を作っているそうで。

 結界と言えば、家の玄関や部屋の四隅に、円錐状や三角錐に塩を盛って、悪い物から身を護るといったまじないいが有名でしょうか。

 しかし、そのような呪いごと以外でも人は何気ない所作、例えば、家のドアをきちんと閉めたり、エレベーターで周りの人と視線を合わせないようにしたり、普段から無意識にしていることで結界を作っているそうです。

 具体的には、窓やドア、クローゼットが少しだけ空いてると、なんだか落ち着かなくてしっかり閉じようとしませんか?電車の席に座る時、なるべく横が空いてる場所、又は、席の端に座ろうとしませんか?

 これらの動作によって自分の世界と外の世界の境界をつくり、そうやって、常日頃から身の回りに潜む邪気から自分を守っているそうです。

 その邪気の元凶は、人だったり、この世のものではない何かであったり、様々です。

しかし、そのように人は普段から結界を作っているのにも関わらず、人の悪性に触れたり、心霊現象のようなものに出くわす人が居るのはなぜでしょうか。

なぜなら、人にも人ならざる物にも結界をすり抜ける方法はいくらでも、あったりするからです。


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