溺愛妖精は鳥籠から脱出したい

小花ソルト(一話四千字内を標準に執筆中)

 

序章

第0話   フェアリーテイルの語り手

 誰かの手のひらに、乗ったことはおありですか?


 私は、あるんですよ。

 ふふっ、嘘だって思われますか? 当然ですよね、でも、本当の話なんですよ。


 私は今でこそ、一般女性の身長と変わりませんが、本当はとっても小さくて、以前までは人間の暮らしのいろいろも、ちっともわからなくて、人間を相手にすると意思疎通が難しい状態でした。


「ニャーン」


 あら、退屈でした? あなたはお話よりも、ごはんとお昼寝が好きですものね。


 でも、たまには大事な思い出話や、特別に驚いた大事件を、誰かに話してみたくなるものでしょう? お昼寝の片手間でいいですので、もう少し、私の膝に乗っていてください。


 私がどうしてここに居て、お気に入りのエプロンを付けて、切り株に座って、干し終わった洗濯物を眺めているのか。そして、どうして黒い野良猫のあなたを、家族に迎え入れたのか。その過程を、ちょっぴり大げさに、そして、楽しく語らせてください。



 私のFairy taleフェアリーテイルを、どうかあなたの夢路ゆめじのお供に……。


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