結論:このデスゲームにおいて死亡するゲームマスターは1人だけである

どっこちゃん

第0話 赤石累果(アカシ ルイカ)

 ――殺してやる。


 朱石塁果(アカシ ルイカ)は思った。そうだ、殺してやる。


 それですべてが解決するじゃないか。


 と、幽霊みたいに自室の中を歩き回りながら、思いついたのだ。


 そうだ。殺してしまえばいいんだ。


 自分の年齢は17になったばかり。つまり、未だ成人ではない。


 殺す気になれば、可能なのだ。


 後のことなど知ったことではない。


 そうだ、殺してしまえばいい。


 シングルベッドよりも巨大な革張りのソファに突っ伏し、ルイカは一人、ほくそ笑んだ。


 30畳はある部屋だった。

 

 父に宛がわれた部屋だ。

 

 恵まれた環境。恵まれた生活を享受しているのは確かである。

 

 だが、ルイカの父は、端的に言って人間ではない。


 少なくとも、実の息子であるルイカに、人間らしい接し方をしたことなど、一度もなかった。


 ただのストックとしか見られていないのだと理解はしている。


 自らの財産と地位、そしてエゴまでをも、己の死後にいたって保存するための『入れ物』でしかない。


「……殺して、やる」


 ソファの上で悶えるようにつぶやき、意を決して、立ち上がろうとした。


 しかし、身体が想うように動かない。


 そう言えば、ここ数日、まともに寝ていなかった。


 殺せばいいのだという結論に至るまで、それだけの時間を要してしまった。


 今は眠ろう。


 起きてから、殺せばいい。


 自室を後にして、静かに父のところまで行き、不意を突いて。


 それでいい。それで万事は解決する。 


 そうだ、殺してやる。


 殺して……や、る。




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