感謝
「誰だって駅のホームの吐瀉物には近寄りたくないでしょう? それに砂をかけて片付ける駅員さんに同情の目と少しの感謝を向けるでしょう? 私はそれを一度でいいから経験として受け取ってみたかっただけよ」つんとしたアンモニア臭が鼻をつく。僕の爪先近くでひぐひぐ呻く男の股の下に黄色い水が広がっていた。彼女はそれを軽蔑の色を隠しもせずにちらと見てから目を逸らす。真の意味での汚物は対象外ということか。ほっそりとした指が気まぐれにトリガーを押し込む度に派手な音と火花が何度も空に炸裂する。「ありがとう」と半ば呆けたまま口にした僕を蹴りつけて言い放たれた彼女の言葉は難解だった。「ねえ、だから、どうしたら貴方がこいつにレイプされかけて、それを私が助けたってエピソードが有名になるか一緒に考えて欲しいの」わかったからスタンガンを僕に向けるな。ヒーロー、ダメ、脅迫。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます