これから増える?

「ふぅーーー……強かった」


両腕を斬り落とし、最後に胸周辺に向けて連続で突きを放ち、魔核が見えたところでセルシアは見事、魔核を抜き取ることに成功した。


「お疲れ様、セルシア。はい、ポーション」


「ん、ありがとう」


一人でデス・ナイトに勝利したセルシアだけど、体にはいくつもの切り傷があった。


「強かったみたいだな」


「うん、強かった、ね。結構、危なかった、と、思う」


「私としては、かなりハラハラしましたよ」


確かに、メリルはセルシアとデス・ナイトの戦いを観てる時、平静を装ってたけど、割と汗をたらたら流してたな。


「メリルは心配し過ぎなんだっての。俺はセルシア様なら絶対に勝つって思ってたぜ」


「私も同じく、セルシア様が負けるとは思ってませんでしたよ。ただ、それとこれとは話が別なのよ」


ん~~~~、今回はセルシアの意見に賛成かな。


正直なところも、俺もちょいちょい見ててヒヤッとするところが何回かあった。


というか……紫電崩牙を使わない状態だと、十分セルシアが負ける可能性もあったからな。


「二人とも落ち着け。とりあえず少し休憩してから、もう少しだけ移動しよう」


可能なら、武器かマジックアイテムが置かれている部屋で休憩したい。


「……ラガス坊ちゃま、この地下遺跡がダンジョン化している途中だと仮定した場合、後どれぐらいでダンジョン化が完成すると思いますか」


「そう仮定した場合…………どう、だろうな。どういった現象がダンジョン化を活性化させるとか解らないからあれだけど、今よりも探索するハンターの数が増えれば、刺激を与えることになるんじゃないかな」


「なるほど……そうなると、後十日か二十日後には、今よりも探索するハンターの数が増えそうですね」


「地下遺跡の話が徐々に広まってるからか?」


「そうですよ。まだ完全に全容を解明していない地下遺跡が発見されたとなれば、興味を持つ者は多いでしょう」


新しく発見されたダンジョンと似た様なものって考えれば、当然の流れか。


「確かに興味深い場所ではあるか~~……けどよ、半端な戦力しかない連中が挑んでも意味無いだろ。死ぬだけなんだしよ」


「……ここに、来る、前に……未開拓地で、死ぬ……かも」


多分、他のハンターたちが聞けば「てめぇら上から目線で何様だ!!!!!」ってなりそうだけど、間違ってはいないんだよな。


地下遺跡に生息しているモンスターの強さも十分ヤバいけど、未開拓地に生息しているDランク、Cランクのモンスターも油断ならない。

ていうか、未開拓地にも普通にBランクモンスターは出現する。


ヴェルデたちでも地下遺跡を探索するのは超危ないから、大半のハンターたちは探索するだけ無駄になる。


「何を言ってるのかしら、シュラ。半端な戦力しかない連中が挑んでも意味無いことは解っているからこそ、挑んでも問題無い強者たちが訪れるのよ」


「それはそうか。ってなると、俺たちと同じブロンズか……それ以上のハンターたちがぞろぞろ来るってことか」


「そうね。どこまでダンジョン化が進んでいるのかは解らないけど、そうなれば獲物の奪い合いになるでしょうね」


ダンジョンみたいに、探索を進めていけば、再度探索する時に一定の階層から再スタート出来るわけじゃないもんな。


「……面倒になるってことか?」


「可能性はあるでしょうね。ただ、それが地下遺跡のダンジョン化を加速させる要因になるなら、良い事でしょう」


……やる気はある。

でも、ダンジョン化が進んで、地下遺跡が完全にダンジョンになれば、これ以上ここを探索しなくても済むって考えもあるって感じか。


「探索、する、人数が、増えるか……それとも、地下遺跡、で……人が死ぬか」


「探索者の死、か。そういう刺激が必要な可能性は、否定出来ないな」


今のところ、エスエールさんたちのクランで探索してる人たちの中で、死者が出たっていう話は聞いてない。

でも、他の大手クランも探索してるわけだし、既に何人か死者は出てるか……これが活性化させる可能性の一つなら、改めてこの地下遺跡? に関する情報は……表に出せないな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る