遠慮なく、いただきます

「ふぅ~~~、ようやく戻ってこれた~~~」


セルシアが目を覚まし、体調を完全に整えた後、全員ルーフェイスの背に乗って帰還。


登る階段の数を数えてると、セルシアと二人で上がった数も含めて、本当に絶望を感じるぐらいの階層まで降りてたのだと知った。


だからこそ、カルパに戻って来て、より安心した。


「本当にはらはらしましたね」


「まさに冒険って感じだったな!!!」


「ラガス坊ちゃま……」


「そんな白い目向けないでくれよ。冗談だって冗談。さすがにヤバいなと思ったよ……お陰って言うのはあれだけど、ちょっと面白い事も思い付いたしな」


セルシアのせい……って言うのは気が引けるけど、一緒に飛ばされたからこそ、セルシアの間でちょっと面白いアイデアをゲットした。


「……そうですか。では、遺跡の探索を再開するのは……五日後ぐらいですか?」


「そうだな。それぐらいになるかもしれない」


メリルたちと合流した際、思いっきり爆睡出来たけど、やっぱり街に戻ってきたら、もう一度爆睡したい。


その後、ハンターギルドで適当に素材を売却。

酒場でがっつり呑んで食った後……風呂に入るのを忘れて爆睡した。



「ラガス坊ちゃま」


「…………もう一回、寝る」


「かしこまりました」


なんとなく、普段なら起きてる時間だからメリルが起こしに来たのだろうと思い、直ぐに二度寝すると伝えた。

後から聞いたが、セルシアも同じく二度寝をしたらしい。


そして昼過ぎになり、ようやく俺とセルシアも起きた。


メリルたちはハンターギルドに向かったと置手紙があったので、朝食(昼食)を食べた後は、セルシアと二人でぶらっと散歩。

夕食頃に宿に戻ってから約十分後、二人が戻って来た……と思ったら、何故かエスエールさんと以前偶々出会った探求者の幹部メンバーたちもいた。


「よぅ、ラガス。美味い飯奢るから、一緒に食わないか」


「……それじゃあ、ご馳走になります」


本当にこう、気の良い近所のお兄さん、面倒見の良い先輩って感じの人だな。

俺、一応男爵家の令息ではあるけど…………大手クランのマスターっていうのを考えると、そう簡単に会って話して、飯食える相手じゃないんだよな。


「変な顔になってますよ、ラガス坊ちゃま」


「……だろうな」


なんとなく、自覚はある。

エスエールさんが、幹部の人たちが実力主義だからと言えばそれまでなんだろうけど……冷静に考えると、やっぱ普通じゃないって感じるな。



「好きな物を好きなだけ頼んでくれ」


「ありがとうございます」


好きな物を好きなだけ頼んでくれ(なるべく俺たちの質問に答えてくれると嬉しい)って面と向かって言われたら、ちゃんと美味そうな料理を好きなだけ頼まないと失礼だよな。


「……か、畏まりました。それでは、少々お待ちください」


エスエールさんたちも含めて、全員が注文を終えると、オーダーを取りに来た従業員は顔を引きつらせてた。


「今回の探索は、かなり長かったみたいだな。ハンターとしての血が騒いでしまったか?」


「はっはっは。それもあるかもしれません。ただ、今回はちょっと事情があって」


「事情? 地下遺跡に関する指名依頼を受けてたのか?」


「そうじゃないです。実は、リビングデットナイトの集団と戦ってる時に、セルシアと揃って転移トラップで跳ばされてしまったんですよ」


「「「「っ!!!!」」」」


正直に探索期間がいつもよりも長くなった理由を、全員……さっきの従業員に負けないぐらい顔をひきつらせた。


「よ……よく、無事に戻ってこれたな。そこまで深い場所に跳ばされなかった、という訳ではないのだろ」


「そうですね。少なくとも、十層以上したの階層に跳ばされました」


「そういうトラップもあるのか……そこでは、どんなモンスターと遭遇したんだ?」


レイザージャガーやサンドリザードマンの事など、料理が届くまでにある程度伝え終え、運ばれてきてからは一旦食べることに集中した。

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