どれが覚める?

SIDE ラガス


「セルシア~、大丈夫か~~」


「うん……大丈夫、だよ」


「そうか、そりゃ良かった」


二人で地下遺跡を探索……メリルたち合流する為に上へ上へと目指し始めて数日間が経った。


その間、幸いにも大量ののBランクモンスターや、Aランクモンスターとは遭遇してない。

勿論遭遇すれば倒すつもりだけど、現状に限っては遭遇しないで済むなら、それに越したことはないと思ってる。


そんな感じで戦闘に関しては問題無いと思うけど、やっぱ……睡眠がちょっとな、って感じがする。


「って、やっぱりちょっと眠いだろ」


「……正直、ちょっと眠い、かも」


「はっはっは、やっぱりか。俺も同じだよ」


中々頑強な結界のマジックアイテムを使用してるから、今のところ寝てる間に襲撃を食らってない。


ただ、エスエールさんたちが遭遇したAランククラスの実力を持つモンスターの攻撃は完全に防げない。

多分……五回ぐらいまでが限度か? どんな攻撃かにもよるけど、それ以上は耐えられないと思う。


だから、四時間ずつ睡眠と監視を交互に行っている。


「まっ、俺らが今まで楽をし過ぎてたって言うか……別に仲間に頼ることは悪い事じゃないと思うけどな。でも、この疲れを、他の冒険者たちはいつも抱えてた…………そう思うと、楽してたんだな~~って思っちまうな」


「同、感。今……Bランクの、モンスターと遭遇、したら……多分、余裕が、ない。全力で、殺すと、思う」


「ふっ、ふっふっふ。そう思えてるなら、まだまだ余裕がある証拠だよ」


全力って言うのは、紫電崩牙を含めての本気だろう。

それでBランクモンスターを殺せるなら、まだまだ十分戦れると言えるな。


俺もBランクモンスターぐらいなら戦れるけど、前に戦ったハイ・ヴァンパイアとかとエンカウントしたら……多分青ざめるというか、一気に余裕がなくなりそうだ。


いや、逆にそれはそれで目が覚めるか?

最悪な目の覚め方になりそうだけど…………はぁ~~~、モ〇ス〇ーみたいなバチバチのカフェイン飲料が欲しいな。


「ラガスは、さ。錬金術が、出来るよ、ね?」


「ん? そうだな。地上に戻ったら、また魔靴を造ろうかな」


「錬金術、でさ。こう……一気に、目が、覚めそうな……ポーション? 丸薬? みたいなの、造れない、の?」


「それは………………どう、なんだろうな」


もしかしたら、俺が知らないだけで、既にあるのか?


仮になかったとしても……多分、造れなくはない、か。

つっても、最低限のポーションや、魔靴ばっかり造ってたから、そこら辺の知識が全然ないんだよな。


「何にしても、ナイス提案だよ、セルシア。未開拓地なら、そういうポーションか丸薬に使えそうな薬草とかが合ってもおかしくない筈だ」


「それは、良かった」


これから最新の注意を払い続けて行動しても、絶対に今回の様なトラップに引っ掛からないという保証はない。


今度はメリルが……シュラが飛んでしまうかもしれない。

今回は咄嗟に俺が気付けたから良かったけど、誰かが一人で飛んでしまうことだってありうる。


唯一転移しても安心出来るのは、ルーフェイスぐらいだ。


それにしても、眠気を覚ますマジックアイテムか……やっぱりカフェインか? 成分的には、そういうのが含まれてるのが重要なんだろうけど、個人的には炭酸系のカフェイン飲料を飲んだ時の、あのバチバチ感が良いんだよな。


正直、あれで目が覚める部分は、少しあると思う。


他は…………あっ!! そういえば、スース―する白粒系も、あれも目覚ましになるよな。

ミント、の成分だっけ? やべぇ……全然解らねぇや。


でも、単純なカフェイン成分重視のと、炭酸みたいなバチバチ系のやつ。そんで口の中がスース―する系の飲料か丸薬を回して摂取し続ければ、かなり起き続けられる………よな?


「ん~~~……………っ!!?? セルシア」


「うん」


気配は三つ……こっちに高速で近づいてくる。

ん? 三つの気配……ってことは。


「ラガス坊ちゃま!!! セルシア様!!!!!!」


「メリル!! シュラにルーフェイス!!! っとと」


「ご無事で……ご無事で、良かったです」


飛び込んできたメリルをセルシアと一緒に受け止める。


これは、あれだな。

絶対に軽口を叩く場面じゃないね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る