制作執念
「ボ、ィ……ァ……」
「もう死んで良いですよ」
「ッ!!??」
バキバキのボコボコにしてから、魔力の刃で剣身を伸ばした短剣で首を切断。
速攻でアイアンアントを倒して観戦を続けたんだが……ぶっちゃけ、途中からちょっと可哀想に思えてきた。
いや、サイクロプスの方から襲い掛かって来たんだから、可哀想もクソもないんだけど……腕力だけじゃなくて防御力も高いサイクロプスの体が痣だらけ状態。
フラっフラになるまで追い込んでから、もう用済みといった感じで首を切断。
「お待たせしました、ラガス坊ちゃま。つい、いつも以上に時間を掛けてしまいました」
「い、いや。別に気にしなくて良いぞ。俺やシュラだって、適度に自分に縛りを付けて戦ったり、腕力が強い相手に腕力で挑んだりしてるし」
「……確かにそうでしたね」
まぁ、メリルがサイクロプスに格闘戦を挑むってのはちょっと心配ではあったけど、マジで途中から……超一方的な展開になったし、やっぱりほんのちょっとサイクロプスが可哀想に思えたな。
「そちらのアイアンアントも、少々体が大きいですね」
「あぁ、そうだな。魔弾で撃った感じ、まだ貫けるんだけど……これ以上堅くなると、ちょっとめんどくさいかな」
「上位の個体になれば、普通の魔弾では貫けなくなると」
「Bランクとかの個体なら、普通じゃない魔弾でも貫けなくなるかもな」
まだCランク以上のモンスターとは戦ってないから何とも言えないけど、Bランク以上……もしAランク以上のモンスターと遭遇したりしたら……ハイ・ヴァンパイア以上に厄介な強さを持ってそうだな。
「いやぁ~~~、無茶苦茶楽しみっすね!! マジでワクワクが止まんないっすよ!!!」
「……そうですね。今はあなたのその考え無しのメンタルが頼もしいですよ」
「おいコラ、それ絶対にバカにしてるだろ。それぐらい解るぞ」
「全く馬鹿にしてませんよ。同じ強さでも、メンタル次第で勝てるか勝てないか変わってきます。当然、前を向いている方が勝てる確率が上がるでしょう」
「ふ~~~~ん?」
あら、良い感じに受け流されたな、シュラの奴。
「はいはい、とりあえず大量に倒したんだし、さっさと解体するぞ~~」
見張はルーフェイスに任せ、俺たちは倒したサイクロプスとアイアンアントの解体に勤しむ。
「むっ……やっぱり、通常のサイクロプスよりも骨の強度が高いですね」
「切った感触的に解かったのか?」
「蹴った感触的に解りました」
「そ、そうか」
ま、まぁメリルぐらいのレベルになれば切っても蹴っても、どちらにしろそういう差に気付くか。
「そうなのか? なら、この森周辺で倒したモンスターの素材で造られる武器は、他の街の武器と比べて質が上がりそうだな」
「そうですね。相対的に、錬金術師たちが造るマジックアイテムの品質も上がっているでしょう」
良質な素材が手に入る街ってことを考えれば、二人の考えることは間違ってないんだろうけど、まだ未開拓の部分が多い森から最寄りの街に滞在するのって……結構勇気がいるよな?
まだないのかもしれないけど、大量のモンスターが襲い掛かってくるかもしれないし……いや、街の警備とかかなり厳重そうだったから、一気に街中まで侵略されることはないと思うけども。
「立地的に考えれば、死んでも最高の作品を生み出すためにそれらに取り組んでる人たちばかりかもしれねぇな」
「鍛冶や錬金術に命を捧げて挑むほどの狂人たち、ですか……私は少々理解出来ませんが、それはそれで信用出来るというものでしょう」
「はっはっは!!!! 確かにその通りだな! メリルにしては良い考えじゃねぇか」
「それはあなたには言われたくないセリフですね、シュラ」
なるほどねぇ……死ぬリスクを背負ってでも質の良い素材を仕入れて作品を造りたいからこそ、その腕が信用出来るってのは、非常に納得出来るな。
うんうん、まさにその通りだ。
だからって訳じゃないけど、二人とも……くだらない事でそこまでバチバチ喧嘩しないでくれ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます