相棒が傍に居れば安心

「ラガスさん、いくつか素材を持っていっても良いっすか」


「ん? 別に構わねぇけど……あぁ、そうか。そういう事か」


休日の朝、シュラが何故急にそんな事を言いだしたのか解らなかったけど、数秒も経てばなるほどと理解。


「夕飯時には帰って来いよ」


「うっす!!!!」


「…………朝から元気ですね」


「だな」


まっ、基本的にシュラが元気じゃない日なんて見ないけどな。


「……私も、毒の調合でも致しましょうか」


「へぇ~~~? 良いんじゃねぇか」


どんな毒を調合するのかは聞かないでおこう。


「セルシアはどうする?」


「ん~~~…………ダンジョンに、潜って、きても、良い?」


「「っ!!!!」」


え、えっと……それは、ちょっとなぁ~~。


いや、俺もハンター業とは関係無い仕事を受けてる訳だから、あんまり強くは言えない、か。

セルシアに休日? を偶には楽しんでほしいんだが……ど、どうしようか。


「大丈、夫だよ。ルーフェイスと、一緒に、潜る、から」


「あ、あぁ……ま、まぁそれなら……なぁ、メリル」


「そうですね…………ルーフェイスが一緒なら、セルシア様お一人でも問題はないでしょう。ちなみにセルシア様、どの階層に向かうつもりでしょうか」


「四十一階層、あたりで、適当に、戦おうって、思ってる、よ」


「四十一階層ですか……分かりました。しかし、夕方の五時過ぎ……最低でも、六時までには帰ってきてくださいね」


「うん、解った」


……別にセルシアのことを疑ってる訳じゃないけど、一応ルーフェイスにも伝えておいた方が良さそうだな。



「ふぅ~~~~。よし、一旦休憩するか」


「ラガス様、お客様が来ております」


ノックと共に不吉な報告が届いた。


「……分かりました。直ぐに降ります」


「かしこまりました」


別に従業員の人は全く悪くないんだけど……はぁ~~~~、クソ面倒な予感しかしない。


「やっぱりか」


お客さんが待つ一回に降りると、そこには顔見知りの職員が居た。


「お疲れ様です、ラガスさん」


「どうも……それで、俺に何の用ですか」


「こちらをお渡ししたいと思いまして」


アイテムバッグから書類を取り出し、渡された。


…………結構知ってる名前がチラホラとある。

これ、何の名簿だ????


「俺、クランとかの勧誘は受けませんよ」


「いえ、そういった要望を頼んできた方々のリストではなく、ラガスさんがお造りになる魔靴が自分たちも欲しい、という方のリストです」


「へ、へぇ~~~~~…………そう、なんですか」


ぶっちゃけ、接客用の良い笑顔を浮かべられている自信がない。


……つか、多分絶対これだけじゃないよな。


「俺に依頼してきている人たちは、本当にこれだけですか?」


「は、はい。現時点でギルドに届いているのはこれだけです」


現時点で、か…………そうだな。納得出来なくはない人数だ。


それに、立場のある人が無理矢理ここに来て直談判? してこないだけ、まだいいか…………面倒ではあるけどな。


「申し訳ないっすけど、これは今受けられません。紅蓮の牙から頼まれてる分と、後ルーキーたちの指導が終わるまでは」


「そ、そうですよね。すいません、いきなりこんな事を伝えてしまって」


「いえ、自分にそういった事を頼みたいと思ってる人たちがいるって知れただけでも有難いっす」


面倒であることに変わりはないけど、本当にそういうのが来てるって知れたのは有難い。


「後々それに関してどうするかは伝えるんで」


「分かりました」


はぁ~~~、終わった終わった……このまま昼飯食って、作業の続きするか。



「めっちゃ食べるな、シュラ」


「いや~~、久しぶりに戦闘以外で疲れたからか、腹減りまくりっす!!!」


「はは、その気持ちは解るよ。セルシアはどうだった?」


「……エルダーリッチと、ヴァンパイアと戦えて、楽しかった、よ」


…………そ、そうでしたか。

それは……うん、良かったな。

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