偏見もあった
「話が解かるようで助かります……ぶっちゃけ俺、他のハンターたち喧嘩したわけじゃないんですよ」
「まぁ……普通はそうだろうな」
……いや、お前は普通じゃないよな? みたいな目は一旦無視しておこう。
「俺や、俺たちだって別に、他のハンターを……戦闘職の大人たちを見下したくて強くなったわけじゃないんですよ」
「そうだな。そこまで捻くれた考えを持つ子供は、殆どいないだろう」
「そうでしょそうでしょ。正直、俺としては変に親友とかそこまでその域まで仲良くなりたいとかじゃないですけど、普通に顔を合わせたら挨拶したり、時間が合えばお喋りしたりとか、それぐらいの仲でありたいわけですよ」
「そ、そうなのか…………いや、あの一件に関してはあいつらが悪いな。そうか……君は貴族にしては珍しいタイプなんだな」
あぁ~~~~~…………チッ!!! これに関してはあれか、俺たちにクソ絡みをしてきた連中も当然悪いんだが、ぶっちゃけた話、ハンターとして活動してきた貴族出身連中の与えた影響か。
だからって俺たちはその括りに入れんなや! って言いたいところではあるけど…………ザ・ヤンキーみたいな顔と服装をしてる奴から「俺はヤンキーじゃねぇし、悪い事なんてしてるわけねぇだろ!!!」なんて言われても信じられないもんな……最悪なことに、それと一緒ってことか。
「……あれですよ。まぁ、今回はそっちが大手のクランってこともあって、こっちも尖った対応をさせてもらいました。けど……そっちが貴族出身のハンターを好かないのは、これまでの経験があるからですよね」
「ッ……貴族の令息である君の前で言うのは気が引けるが……言い訳みたいで申し訳ないが、その通りだ」
ですよね~~~~……これは俺も口に出しちゃいけないことなんでしょうけど、屑連中は本当に屑ですからね~。
「良いですよ、別に。俺も学生時代、しょうもない……うん、とある生徒がしょうもない理由で校内戦での試合でおクスリを使ってまで俺に勝とうと……いや、あれは完全に殺しに来てましたね」
「そんな事があったのか」
「恨まれるというか、妬まれる理由は知ってましたけど、あれはビックリでしたよ……貴族なんて、基本的に優秀な血を取り入れてを繰り返してる一族なんだから、才能ある子が生まれるもんなのに、さも自分の功績みたいに考えてますからね」
「…………は、ははは。君は、本当に変わっているな」
でしょうね。
普通の男爵家の令息がこんな発言してたら、家ごと潰されてもおかしくないだろうな。
「そういう訳なんで、まぁ……今すぐ堂々と仲良くするのはあれですけど、普通に同業者としてそれなりな感じで接してもらえると助かります」
「あぁ、分かった。俺の方でも動ける範囲で動いてみるよ」
……なんであんなに話が解かる人がトップなのに、部下は面倒な奴に育つのか……あれだな、そういう現象って世の中の不思議の一つだよな。
「無事に終わったようですね」
「おぅ、終わった終わった。話の分かる人で助かったよ」
「そうですね。ところで、先程の最後の方の話……貴族の前ではあまりしないでくださいよ」
「ん~~~……俺的には、この考えにあまり納得出来ない人たちとは会いたくないけどな」
勿論、この話を積極的にしようとは思わないけど。
けど……ロウレット公爵様や、リザード公爵様なら笑って聞いてくれそうだな。
「それでも、ハンターとして活動していれば………………」
「どうした?」
「いえ、もしかしたらラガス坊ちゃまは学生時代に色々とインパクトが強い功績を残している為、悪い意味貴族志向が強い方であっても、最初から低姿勢な対応を取るのでは? と思いまして」
……あり得なくはなさそうだけど、そうなりそうな理由の七割方はセルシアと一緒に行動してるからだろうな。
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