今回の主犯は、確かに俺
「とりあえず、さっさと上に戻ろうぜ」
良い戦い……何だかんだで良い実戦訓練になったが、ぶっちゃけ疲れた。
正直、さっさとふかふかなベッドにダイブしたい。
「そういえばラガスさん」
「なんだ?」
「紅蓮の牙と敵対関係? みたいな感じになったっすけど、ギルドには報告しておくんすか?」
「あぁ~~~~……そうだな。一応、ダンジョン内でそういう事があったって報告しておいた方が良いかもな」
あいつらにも報告して人を寄越してもらうから、面倒事には発展しないと思うが……はぁ~~~~、本当なんであぁいう連中は意味もなく見た目弱そうな人間に絡むかな~~。
「ラガス坊ちゃま、眉間に皺が寄ってますよ」
「っとっと」
「……ボス部屋での一件ですか?」
「それ以外にあると思うか?」
「思い当たりませんね。私としては、正直スッキリしました」
小言が飛んでくるかと思ってたから、その反応はちょっと予想外だな。
「また絡んでくる、のかな?」
「ラガスさんが腹パンを決めたんすから、そりゃないんじゃないっすか?」
「……私としては、警戒しておくに越したことはないかと思います。そもそもくだらないプライドが無意味に大きくなった連中です。例えラガス坊ちゃまに腹パンを決められ、クランのトップであるあの男に説教を受けたとしても、バカは大局を考えることが出来ませんから」
ボロクソに言うな~。
けど、メリルの言う通りか。
もし下手に絡んだらどうなるか、全く想像出来なかったからこそ、あの勘違いハンターはダル絡みしてきたんだろうな。
「やっぱり、俺が言わないと駄目だよな」
「勿論です、リーダーなのですから」
リーダーねぇ……まっ、今回ダル絡みしてきた奴を率先して潰したのは俺だし、当然か。
「これは、ハイ・ヴァンパイアの魔核に皮……加えてこのケルベロス牙に骨は……五十層のボスを、倒したんですね」
「はい、そうですね」
受付嬢の質問に答えた瞬間、ギルド中の視線が俺らの方に向けられた……気がする。
多分、自惚れじゃなかったら大多数の鋭い視線が向けられてる。
「他にも色々とあります」
骨系の素材は魔靴の製作に使えるけど、あんまり大量に持っていてもあれだから、幾つか売ってしまおう。
「ヴァ、ヴァンパイアの血や内臓もこんなにたくさん……少々お待ちください!」
「分かりました」
今回の探索でかなり内臓や血を保管するビンを使ったな。
明日、店を周って補充しとかないと。
「あっ、すいません。ちょっと良いですか」
「は、はい! なんでしょうか」
「実はですね……」
忘れる前にボス部屋前での一件はちゃんと伝えておかないとな。
伝えておいた方が、もしかしたらギルドが何かしらの配慮をしてくれるかもしれないし。
「ッッッッッッッッ…………」」
「あ、あの……大丈夫ですか?」
せっかくの美人が……いや、マジで、笑っちゃ駄目なんだろうけど……ほ、本当に面白い顔でか、固まってる……ぶはっ!!!!!
「は、はい。大丈夫で、す………………あの、それは……その、嘘や冗談では、なく?」
「嘘や冗談ではありません。困ったことに、向こうから変な絡み方をして来たんですよ」
変な絡み方だけなら大人しくしてろって?
いやぁ~~~~……無理だね!!!!
だって、こっちがクソダル過ぎる絡み方されたってのに、なんで黙って反撃せず言葉だけで対応しなきゃいけないんだって話じゃん!!
つか挨拶ってなんだよ!! てめぇは俺の上司でも何でもねぇだろ!!!!! ってあいつらの前で怒鳴り散らせば良かったな。
「そ、そうなんですね……は、ははは。彼らにもこ、困ったものですね」
「ですよね~。いやぁ、個人的にちょっと大きなトラブルかなと思ったんで、事前に伝えておこうかと思って」
「お、お気遣いいただき、誠にありがとうございます」
とりあえずその日は、ギルドマスターから呼び出されたりとか面倒なイベントの追加はなく、大金を受け取って高級レストランで豪勢な夕食を楽しんでから……寝た。
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