悪い感覚ではないのだが……
「うっし、まずは風呂だ」
四十層のボスモンスターを討伐に成功。
そのまま五十層へレッツゴーという選択肢もあったが、物凄い眼光でメリルに睨まれたため、一旦地上へ帰還。
「あぁ~~~~……疲れが抜けてく感覚、たまんないな~~~」
「そうっすね。がっつり動いた後の風呂は最高っす」
大浴場なので俺たち以外にもそれなりに人がいるが、関係無い。
俺らだけじゃなくて、湯船に浸かっている客たちは全員知り合いと喋ってるしな。
「そういえばシュラ、リビングデッドジェネラルと戦い終わった後、なんか変な感覚だったって言ってただろ。もしかして精神系の攻撃でも飛んできたのか?」
「いや、そんな攻撃は多分使ってなかったっすよ。ただ……終盤の方でこう……自分の意志に関係無く体が動いてたって言えば良いんすかね」
「ほぅ、それは凄いな。考えずに体が動くとか、一種の境地だぞ」
狙ってその境地に入った……って訳ではなさそうだな。
セルシアとのコンビネーションに極限まで集中してたからこそ、気付いたらそうなってたってところか。
「ん~~~~……凄いってのは何となく解るんすけど、俺としてはちょっと変な感覚って感じが強いんすよね」
「……そうだな。自分の意志と関係無く動くってなると、確かに変って感覚の方が強いかもしれないな」
でも、やっぱり凄いことには変わりない。
そこまで戦闘に関して詳しく語れるほど経験がある訳じゃないけど、一度それを体験出来たか出来てないかで、戦闘時の感覚に差が現れると思うんだよな。
「そうなっすよ。ぶっちゃけ、自分の闘志とかそういうのが感じられなかったんだで、気持ち悪いって思いが強いっす」
「そ、そうか…………まぁ、その感覚をどう感じるかなんて、人それぞれだからな」
そ、そう思ってしまうか~~~~~。
でも、あれだよな。
ゾーンに入った? って感覚と近いあれだから……シュラの場合、変にその時の感覚を求めようとしなさそうだから、ある意味良いのか?
「でも、あれだったっすね。リビングデッドジェネラルは確かにそれなりに強かったっすけど、あれをソロで倒すぐらいじゃないと、あんまりひりつかないっすね」
……今いる場所が大浴場だからか、同業者からの視線がグサッと刺さるな。
「まぁ……そうかもな。シュラとセルシアだけでリビングデッドジェネラルの相手は十分って感じではあったからな」
もう今更な話なので、特に止めはしない。
「ラガスさんも、四十層のボス戦はぶっちゃけ暇でしたよね」
「後方から魔弾を撃ったりしてただけだからな~。最後の方は眷属連中が機転を利かせて襲い掛かってきたけど……だから何だって感覚ではあった」
「やっぱりそうっすよね!」
「つっても、あれ以上レベルが高い戦いに挑むと、それは訓練の域を出てしまう……ってのがメリルの判断だ」
「あぁ~~~~……なるほど~~~」
おっ、シュラもメリルがどう考えてるのか解ってくれてるみたいだな。
「メリル的には、ファイルトロールやトロールの集団と戦った時みたいな戦争内容だと、アウトってことなんすね」
「偶然、偶々そういう戦いに発展しまっただけなら、別に怒りはしないと思うけどな」
わざわざ俺やシュラがそういうのに首を突っ込もうとしたら、般若の如き形相で睨まれるだろうけど。
「お前ら、中々面白い話してるじゃねぇか」
…………周囲から睨まれてるの忘れてた~~~~~~~~~~。
「……んだてめぇ、戦んのか?」
って、ちょおいシュラ!!! いきなりそんなバカ濃密な殺気撒き散らすなよ!!??
「っ!? おいおい、落ち着いてくれ。別にそういうつもりじゃねぇんだって。本当に面白そうな話をしてたからよ、偶々声を掛けただけなんだ」
「……そうか。んじゃ、今日はそういう事にしといてやるよ」
……しゅ、シュラさん。
あんまり心臓に悪い対応は止めてくださいよ~~。
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