いずれ死ぬ定め

「ラガス坊ちゃまを、セルシア様を……私たちを生贄にしようなど、バカは本当に愚かなことを考える者ですね」


「今回は全面的にメリルに賛成だ。愚かにも程がある」


二人ともボロクソに言うな~。

俺としては、そこまでして生き延びようとする気持ちだけは理解出来る。


仮に押し付けた連中がモンスターパーティーを殲滅して地上に戻ったら、評判が地に落ちるという可能性を考えないのかと思ってしまうが……階層の適性通りの強さしかない者たちであれば、この量のモンスターを相手に生き残る可能性は確かに低い。


でも……そういう事をやってしまったんだ。

逆に自分たちが殺られることは考えないとな。


「や、やめ、ろ!! ッ!!??」


「ごはっ!!!!???? ち、血が、や、べぇ……」


「い、嫌だ、嫌だ!! 死にたくない!!!!」


死にたくないなら、俺たちに押し付けるんじゃなくて、一緒に戦おうと提案する……もしくは俺たちが見えた段階で、逃げろ!!! って危機が迫ってることを呼び掛けてくれてたら、こっちもどうにかしようって動いたんだけどな……まっ、やっぱり屑はどこかで痛い目を見て死ぬ定めなんだろうな。


「最後まで自分勝手な方たちでしたね」


「そうだな……それじゃ、潰そうか」


「「「了解」」」


「ワゥ!!!!」


あの三人がしっかりモンスターたちに殺された。

当然だが、これほどの量のリビングデットやグール、レイスたちを野放しにする訳にはいかない。


正義の使者とヒーローじゃないけど、さすがにこの量のモンスターが纏まって動くのは放っておけないからな。


「リビングデットナイトか……ラガスさん!! リーダーであろう、あいつは俺が倒しても、良いっすか!?」


「おう、好きに戦ってこい! こっちは俺たちが何とかしておく!!!!」


「ありがとう、ございます!!!!」


あのリビングデットナイト、普通の個体が持ってる武器とは異なる剣を持ってるが……まっ、あんまり深く心配する必要は、ないだろう。


「ラガス坊ちゃま、少々シュラを好きなように、動かし過ぎではありませんか」


「ならメリル、お前がリビングデットナイトと戦うか? 俺は別に止めないぞ」


「……私は他のモンスターを仕留める方が適任です」


「ふっふっふ、そうだよな」


レイス系のモンスター例外だが、他のリビングデットやグール、スケルトンなどの人型モンスターは、他のちゃんとした体を持ってるモンスターと比べて、足元への注意を疎かにしがちだ。


そこにメリルの粘着性の糸が良く刺さる。


それなりに強さが上昇してきているとはいえ、足を取られて転んでしまえば隙だらけとしか言えない状態。

美味し過ぎる隙をセルシアやルーフェイスが逃すわけがなく、何十体といたモンスターはあっという間に全滅した。


「流石だな、メリル」


「レイス系のモンスターをラガス坊ちゃまが全て対応してくれたお陰です」


「謙遜するなって……おっ、向こうもそろそろ終わりそうだな」


こっちが終わったのを察したからか? 大剣に鬼火を纏わせて、一気に終わらせにいった。


「ふぅ~~、終わった終わった」


「お疲れ、シュラ。楽しめたか?」


「あぁ~~~……それなりって感じだったっす」


「そうか」


トロールとかとの戦いの方が楽しめたって感じだな。


「ところで、このリビングデットナイトが持ってたロングソード……どうしますか?」


「うぉっ……呪われては、いなさそうだな」


「みたいっすね。でも、雰囲気的に危なそうじゃないっすか」


「だな。ん~~~……捨てるのも勿体ないし、一応拾っておこう」


殺した冒険者から奪ったロングソードが変形、もしくは進化した? のかは知らないけど、溶かせば魔靴の素材として使えるかもしれない。


「ラガス坊ちゃま、速く魔核を回収してしまいましょう」


「はいよ~」


あっ、そういえばあのバカ共のハンターカードとかどうしようか…………そのままでいっか、あれこれギルド職員に説明するのも面倒だし。

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