久しぶりの抜刀

「シュラ、焼いてないだろうな?」


「もうちょいで、うっかり焼きそう、でした!!!」


「はは! 丁度良いタイミングに来たって訳だな」


陸鮫は四足歩行動物の様に、陸上を歩く四本の脚がある。


かといって、見た目は殆ど鮫。

魚らしき……鮫らしき要素はたくさんある。


「シュラ、戦い辛い、か?」


「そうっすね……正直、あんまり、長く戦いたくない! 相手っすね!!」


やっぱりそうか。

何と言うか、動きが凄い大雑把、なんだよな。


そりゃこの前戦ったトロールやファイルトロールも動きが大雑把なところはあったが、正直……陸鮫の方が超大雑把だ。


ライオンや豹、犬や狼みたいなしっかりとした四本脚じゃないから、そうなるも仕方ないかもしれない、が!! 予想以上に大雑把だ!!!


なのにこいつ……危機能力が高い。


「どうすか、ラガスさん!! こいつ、結構戦い辛く、ないっすか!!!」


「同感だなよ、シュラ。俺たちが二人で対応してるのに、ここまで攻撃が、クリーンヒットしない、とはな!!」


いやはや本当に驚かされた。


Bランクモンスターということもあって、決して鈍間じゃない。

ただ、基本的に四足歩行モンスターと比べて明らかに、短足!


なのにだ、口から水のブレスを吐いたり水魔法を器用に使って、こっちの攻撃に上手く、対応しやがる!!!!


「何か、特別なアビリティでも、持ってるんすか!」


「支配ってアビリティは持ってるみたいだが、それ以外はそこまで、珍しいアビリティは、持ってない!!」


「マジ、っすか!!」


「マジだ!!!」


いやぁ~~、本当に驚いた。

支配ってアビリティを持ってるのは納得だが、他に珍しいアビリティを持ってないのに、ここまで俺たちの攻撃を、対応する、か……ファイルトロールや、タコキメラとは、別ベクトルの驚き、だな!!!


正直なところ、これはこれで意外と楽しんだが、その間に他の戦いが終わそうだし!! 大口叩いた手前、最後に戦いが終わるってのは、後で言われそう、だよな!!!


「シュラ、ちょっとだけあいつを、止めてくれるか?」


「へへ、嬉しい要望っすね!! 任せてくださいよ!!!」


本当にこういう時の頼もしさは半端ないな!!


「こっちにこいやッ!!!!!!」


本来なら……相手が全力の闘志、殺気をむき出しにすれば退くのだろう。

しかし、陸鮫も逃げられないのは理解してる……はず。

故にまずは目の前の鬼人族を殺すのが先決と考えたんだろうな……巨大な顎を開き、水の魔力を纏いながら喰らおうとした。


その大きさと鋭い歯を持ってすれば、シュラを一口で喰えたかもしれない。


「良い、顎の力だなッ!!!!!!」


「ッ!!!!!?????」


結果、シュラは身体強化アビリティを全力で使用し、両手で上下を抑えて強烈な咬みつきを抑えた。


「最高だ!! シュラッ!!!!」


フェリスさんに貰った名刀、狼牙瞬雷を抜刀。


宙で体を思いっきり捻り、雷の斬撃全力で放った。

精度が乱れそうなのでコングアームは使わなかったが、それでもその他の強化アビリティを使用しての斬撃刃。


雷で多少身を焼いてしまうのが心配だったが……どうやら、そこまで心配する必要はなかったみたいだな。


「っと!! ふぅ~~~~~。いやぁ~~~、中々恐ろしかったっす!」


「はっはっは、悪いな。最後は俺が貰って」


「ラガスさんじゃないと、最後の一撃は叩きこめなかったと思うっすよ。セルシア様なら出来たかもしれないっすけど、俺だと中途半端に斬るだけで、ここまで上手くバッサリ斬れなかったっすよ」


「そう言ってくれると嬉しいよ」


違勿体ないので、首? をスパッと切断して倒した陸鮫を回収。


「さて、残りの奴らを討伐するか」


「……ラガスさん、俺らはもう良いんじゃないっすか?」


「どうして……あぁ~、そういう事か」


俺らはそれなりのモンスターを倒してから、最後は陸鮫を倒した。


どうやらセルシアたちの方も終わりそうだし……これ以上動いたら、巨人ハーフたちが欲しがってた功績を更に奪うことになるんだな……まっ、こういのを考えるのも社会人? になった辛さってやつか。

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