ふざけんなって話
「ジーク、お前が頑張り過ぎる必要はないぞ。そういうのは、別にお前だけの仕事って訳じゃないだろ」
「ん~~、確かにそうかもしれないけど、リアルス団長から頼まれた仕事だしね」
「……どうせなら、実力があってお前と同じく、面が良い先輩と一緒に行え」
「ルーキーと、ルーキーの域を抜けた本当のプロが一緒に説明をして、更に後輩たちの心を掴むってところか?」
「とりあえずそんなところだ」
リーベの言う通り、先輩も一緒に話せば、より信頼を得られる筈だ。
「そうだね。リアルス団長から頼まれたとはいえ、僕一人だけでやる必要はない……それに、強い先輩と一緒の方が説得力もる。けど、ラガス……僕は、壁を越える戦績を残すことは諦めないよ」
「っ……顔に出てたか?」
「顔に出てたというか、雰囲気と話し方、かな」
はぁ~~。伊達にジークとの付き合いも短くないってことか。
「心配してくれるのは嬉しいけど、騎士になったからには……人々を守る剣にして盾になったからには、いずれ避けては通れない道だよ」
「そりゃ……まぁ、そうだな」
俺やリーベも、依頼上では誰かを守ることはあるだろうけど、結局それはそういう依頼を受けたからって話。
ジークの場合は、どの仕事も誰かを守ることに繋がる……確かに、その場面が避けては通れない。
ハンターみたいに、自身の力量や周囲に生息するモンスターの戦闘力を考慮して、リスク管理できる訳じゃない。
「それに、ラガスだってハンターになってから直ぐに無茶するつもりでしょ」
「無茶って……Bランクのモンスターに挑もうって考えてるだけだっての」
「ラガス。お前は学生に枠に収まらない、ってもう俺たちは卒業したんだったな。とにかく、お前が歳の割に強過ぎることを考慮しても、Bランクモンスターに挑むのは、十分無茶だ」
うぐっ……すいませんでした。
ちょっと常識的な部分が抜けてた……でも、俺の場合はメリルやシュラ、セルシアにルーフェイスがいる。
頼れる仲間が傍に居るから、Bランクモンスターぐらいだと、あんまり挑むことに危機感がないんだよな。
「そりゃそうかもしれねぇけど……はぁ~~、そうだな。ジークと共に行動する奴らのことを信用するしかないか?」
「? 僕じゃなく、僕と共に行動する人を、かい」
「だってそうだろ。ジークがこの先、任務でどんな敵と対峙するかは知らないけど……Bランクのモンスター程の戦闘力を持つ相手なら、命を懸ければ勝てるだろ」
「…………」
「勿論、無傷でってのは無理とは思う。重傷を思うかもしれないけど、それでも倒せる可能性は決して低くない」
ジークは、入学してからきっちり王道を進み、成長し続けた。
だからといって、王道以外のことが出来ない訳ではない。
対処も知っていれば、同じ邪道な技、行動も実行出来る。
「でも、一緒に行動する仲間のレベルが低かったら、そういう時……お前が身を挺して守らなければならない状況に追い込まれるだろ」
「っ……」
「いや、自分でも上から目線だと思ってる。でも……仲間を守りながら格上の相手を潰すのは、さすがにきついだろ。だから、ジークと共に行動する奴らの実力を信用するしかないって言ったんだ」
「騎士団に合格した者たちは皆三年間、頑張り続けてきた者たちだと思うが、ラガスの言う通りだな」
仲間を守るために身を挺し……そして死ぬ。
それは美談に聞こえるかもしれないけど、俺たち友人からすれば、ふざけんなって怒鳴り散らかしたくなる内容だ。
「……ありがとう、二人とも。でも、安心してくれ。騎士団に入ったら、今以上に僕は強くなる。学園では学べなかったことを吸収し、仲間を守りながらでも敵を倒せる強さを得る」
「…………そうか。悪かったな」
瞳の奥に覚悟の炎? が見えた。
幻覚だったかもしれないけど……てか、絶対に幻覚だと思うけど、ジークの瞳に確かな覚悟が見えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます