良い流れで終わら……ない?

俺とメリル、シュラとセルシアの四人で攻めた結果……正直、過剰戦力だった。


シュラの鬼火を纏った一撃なら、その一撃だけで勝負を速攻で終わらせることは出来ずとも、肉に響く。

上手くいけば、骨に罅を入れる。


羅門を使ってしまえば、完全に砕けるだろうな。

まっ、メリルにそれは使うなと言われているから、おそらくこの戦いに最中では使わない。


それと、徐々にメリルの毒も効いてきてる。

そのお陰で俺の魔弾も良い感じに決まる様になり、そこに更にセルシアの雷攻撃魔法が刺さる。


そして再びシュラの鬼火を纏った一撃がぶち込まれる。


この流れも何度も繰り返した結果、五分と掛からず戦いは終わった。

勿論、勝ったのは俺たちだ。


「ふぅーーー。お疲れ様です、シュラ」


「こっちのセリフだ。お前が上手くアシストしてくれたから、一度も攻撃を食らうことなく倒せたんだ」


「あら、あなたが私を褒めるなんて……明日は雪、ではなく氷柱が降りそうですね」


「俺をなんだと思ってるんだ。ありがたいと思ったら、素直に感謝するに決まってるだろ」


あらら、シュラも俺と同じ様にからかわれてるな。

本気じゃないから気にする必要はないんだが……ついつい言い返してしまう。

その気持ち、良く解るぞシュラ。


「……ねぇ、あんたのところのメイドと執事、おかしくない?」


「なんだ、今更かよ。お前らから見て、俺がおかしいんだろ。なら、その俺に付いてきてくれてる二人も、戦闘力的にはおかしいに決まってるだろ」


メリルは怒るかもしれないが、俺が二人を自分の従者として選んだ基準を考えれば、当然といえば当然の反応だな。


二人とも、本当に頼れる自慢の従者だ。

そう思っていると、イーリスの一歩後ろで周囲を警戒していたルーノさんとリタさんが、上空に向かっていきなり遠距離攻撃を放った。


「っ!!??」


驚いて後ろを向くと、複数のワイバーンがこちらに向かって来ていた。

二人の攻撃はギリギリ回避され、撃墜は失敗。


ってか、それはまだ良い。

一応ドラゴンではあるが、ランクはC。


上空からの攻撃にビビッてやらかさなければ、十分に勝機はある。


ただ……その奥にいるのがちょっと面倒かな。


『ルーフェイス、倒してきたよ』


「ラガス坊ちゃま、こちらの死体を亜空間にしまってもらってもよろしいですか」


「あ、あぁ、分かった……なぁ、あれどう考えてもスノードラゴンが上のワイバーンを率いてるよな」


「その様ですね。私たちがヘイルタイガーとの戦いで消耗した後を狙っていた、ということでしょうか」


多分そうなんだろうな、って考えてたらスノードラゴンがブレスを放って来やがった!!!


「ちょっとは待てよ!!!」


全員が一斉に遠距離攻撃を放ったお陰で、スノードラゴンのブレスで氷漬けにされる危機は逃れた。


クソっ!! 当たり前だけど、待つ気はさらさらないみたいだな。


「セルシア、シュラ! いけるか?」


「うっす!!!!」


「勿論」


「よし、上の連中は頼みます!!」


「ちょっ、もうちょっと考えなさいよ!!!」


イーリスが何やらぴーちくぱーちく喚いているが、関係無い。


誰がどれの相手をするか、冷静に話し合ってる時間はないんだよ。


体格はさっきまで戦ってたヘイルタイガーよりも大きい……一応、アブストラクトを抜いておくか。


「っ、それなら、私も抜く」


俺が亜空間からバルンク様に魔靴の報酬として貰ったアブストラクトを取り出すと、セルシアは迷惑料としてアルガ王国の国王から貰った紫電崩牙を抜いた。


そ、それはちょっと、強過ぎかもしれないが……相手はドラゴンだし、そんなこと気にしなくて良いか。


「よっしゃ!!!!!」


まずは先制パンチをシュラが叩きこんだ。

勿論鬼火を纏った一撃だが、見た感じヘイルタイガーほど効いてる気がしない。


四足歩行タイプのドラゴン、体格の大きさを考えると……防御寄りのステータスって考えた方が良さそうだな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る