どうせなら俺を狙え
「言っておくけど、これは強制じゃない。俺は確かに貴族だけど、ライド君や……ザックスたちに選択を強制する力はない」
というか、あったとしても使わない。
別に犯罪を犯そうって訳じゃないんだ。
そうだとしたら何がなんでも止めるけど、そうじゃない。
ただ……茨の、劫火の道を進むか否かの話だ。
「でも、これだけは覚えておいて欲しい。君の選択がザックスを後々苦しめるかもしれないと」
「……はい」
ここでアザルトさん関連の話は終わり、デザートを食べて会計。
会計金額を聞いてライド君は目ん玉が飛び出そうになってたけど、無視して払った。
というか、昨日の金額に比べたら半分くらいだし、そんなに高くない。
昨日と同じで超美味しかったしな。
「それじゃ……お互いにハンターになったら、また会えるかもな」
「そうですね。その時はよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく」
その時に……俺としては、隣にアザルトさんがいないことを祈るばかりだけどな。
ライド君と別れた後、昨日と同じく王都をブラブラしながら夕食までの時間を潰す。
「はぁ~~~……まっ、アザルトさんと縁を切ったら切ったで、面倒が降りかかるのは間違いないだろうけどな」
正直、どっちが間違った選択なのか……微妙なところ。
仮にライド君がアザルトさんと縁を切ってくれたなら、個人的には嬉しいよ。
でも、そうなるとライド君のご両親の立場がちょっとあれになるのではと思うんだよな~~~。
別の村……街に移ることが出来れば済む話だとは思うけど。
「後は、アザルトさんがメンヘラじゃないことを祈るだけだな~」
もし……もしアザルトさんがメンヘラだった場合、まず……そもそもライド君から縁を切ろうと言われても、その要求をのまずに引っ付く可能性がある。
借金のことについて否定しても……メンヘラ脳ならリーベに責任を押し付けるか……「二人の愛の力でなんとか出来るよ!!」みたいなことを言いそう。
いや、アザルトさんはそんなキャラではなかったか?
でもキャラ崩壊しててでもライド君との縁を斬り離したくない、とは思ってそうなんだよな。
そうなっても、ライド君が覚悟を決めたなら強制的に縁は切れる……そうなったらそうなったらで良いんだけど、問題はその後だよな。
メンヘラが闇落ちしたら、自分のことを愛さない人なんていらない。
もしくは自分がライド君と別れる切っ掛けをつくった人物を殺す、そうなれば元通りになる……なんて考えに至って暴走する可能性はゼロじゃないもんな~~……恐ろしい。
切っ掛けつくった人物として、俺を狙ってくれたら良いんだけどな。
アザルトさんがあり得ないとは思うけど、超一流の暗殺者とかになったら殺られる可能性はあると思うけど、現段階で暴走して襲ってくるなら、ディーザスのメンバーに任せて殺す。
申し訳ないけど、殺す。
俺はアザルトさんの考えや行動を一ミリも良い、正しいとは思ってないからな。
というか、俺が王都にいる間……ザックスたちがロッソ学園から出る時……いや、ライド君も護衛対象に入れておいた方が良いか。
その時だけは、あいつらに四人の護衛をしてもらおう。
「さすがに学園内で堂々とやらないだろ」
本当なら学園内でも護衛の奴らを付けたいところだけど、学園の教師にバレたら絶対にめんどくさい事になる。
後であいつらに連絡しておかないとな。
ふふ、こういう時にあいった連中を自由に動かせるようにしておいて良かったって思うな。
まぁ……学園から卒業した後だと、さすがに守り続けるのは難しい。
できればアザルトさんには一人で借金を返してほしいもんだ。
そして逆恨みするなら、俺にしてほしい。
俺だったら……きっちり返り討ちにして殺せるからな。
「ん? ……っと」
周囲の通行人たちが、何故か俺を避ける……なんでと思ったら、単純な理由だった。
うっかり殺気を漏らしてしまってた。
最近表情というか感情? がバレること多いし、気を付けないとな。
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