眠らせるのは勿体ない
学園に帰ってきてから数日後……特別寮に、大量の荷物が届いていた。
「ラガス坊ちゃま、これからは全て中身が確認されているそうです」
「つまり、危険はないという訳か」
「そうですね。ここで直ぐに開けても問題無いかと」
「……問題無いかもしれないけど、全部部屋の中に入りきるか?」
先日、三本角のオーガジェネラル率いるオーガ、その上位種が俺たちが演習していた方向に向かって来たという事件があった。
オーガ達にとって、基本的に人は倒すべき存在。
なんなら食料と認識している個体も多い。
そんな群れから、俺は同級生達を守る為……本心としては、オーガの素材が大量にゲットできると嬉しいなという思いがあり、群れに突っ込んだ。
そしてそれなりに時間が掛かったが、ボスである三本角のオーガジェネラルの討伐に成功。
生徒たちが誰一人死ぬことなく、無事にオーガを全滅させることに成功。
めでたしめでたしという結果になった。
ただ……その話が速攻で貴族界隈に広がり、演習に参加していた生徒の親御さんたちから大量の感謝の品が送られてきた。
「ラガス坊ちゃまの空間収納を使えば、問題無いかと思われます」
「……それもそうだな」
感謝の品だけではなく、ご丁寧に手紙まで添えられており、どれだけ俺に感謝しているのか良く解った。
ちなみに、前線で戦ったセルシアたちにもちょいちょい感謝の品が送られていた。
ただ……ボスである三本角のオーガジェネラルを倒した俺が、多分一番多い。
「お金……家具、高級ポーション。高品質のハンドグローブ」
家具は正直いらんが……だからといって、捨てるのはちょっとな。
売るのもそれがバレたらバレたで問題になる。
将来的に家を買ったらそこに置くか……実家で使ってもらうのもありだな。
お金は普通に有難い。
大量にあって困る物じゃないからな。
金貨よりも白金貨が圧倒的に多い……中には黒曜金貨もある。
なんだかんだで皆親に愛されているということか?
それとも貴族の面子的にということか……まっ、どっちでもいっか。
高級ポーションも非常に嬉しい。
一応俺には回復弾があるから、傷を癒す手段がゼロではないんだが……勿論、治せる範囲には限度がある。
治癒力に関しては、普通に高級ポーションに負ける。
後、この高品質ハンドグローブも嬉しいな。
こういった品には目を向けていなかったというか……伸縮自在っぽいから、俺が大きくなっても使える。
「ラガス坊ちゃま、非常に目がワクワクしていますよ」
「そりゃそうだろ。というかメリル、お前だってワクワクしてるじゃん」
「……」
ノーコメントかよ!
一応メリルもセルシアやロックス、リーベと一緒にオーガの群れを討伐していたので、いくつか感謝の品が届いている。
「ふふふ」
あれは……誰が造ったとか全く知らないけど、絶対に高級な茶器だよな。
「超嬉しそうじゃん……わぉ、武器まであるのかよ」
制作者の名前が刻まれている者もある。
……この名前は、どっかで聞いたことがある……あんまりそういうのに詳しくない俺の記憶に残ってるということは、相当高名な鍛冶師ってことだよな。
「あら、また高級な武器が増えましたね」
「そ、そうだな……やっぱり、実戦で使わないと勿体ないよな」
確か空間収納の中には、リザード公爵から貰った高ランクの対刃剣も眠ってる。
あれだけの武器を眠らせておくのは……絶対だめだな。
対刃剣とか使えなくはないけど、一応メインはロングソードだからな……双剣系の扱いなら、若干メリルの方が上の気はするし、メリルに渡すのもありか。
「? どうかしましたか」
「メリルにこういった武器を使ってもらうのもありだと思ってな」
「……高性能な武器を使えるのは嬉しいですが、ラガス坊ちゃまの為に造られた武器ですし、ラガス坊ちゃまが使うのが一番良いのではないでしょうか」
まぁそうかもしれないけど、眠らせておくよりは絶対に良いんだよな。
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