感極まる?

「よう、おはよう」


「ワゥ!!」


「あぁ、おはよう」


待ち合わせ場所に時間前に到着すると、既にスレイドが待っていた。


「早いな、スレイド」


「俺はラガスに頼んでいる側だ。待ち合わせ場所に早く着いておくのは当然に決まっているだろ」


「はは、そんなこと気にしなくて良いってのに」


普段の表情はちょっと怖い系だけど、こういうところはしっかりしてるんだよな……婚約者さんはこういうところが好きというか……惚れた要素の一つなのかもな。


「……ブラックウルフを従魔にしていると話を耳にしたが、本当だったんだな」


「カッコ良いだろ」


「あぁ、そうだな……力強さを感じる。ただ、移動方法は任せてくれと言っていたが、まさかそのブラックウルフに乗るのか?」


「そうだぞ。ルーフェイス、大きくなってくれ」


「ワゥ!!!」


普段は小さくなってもらってるが、体のサイズはある程度の大きさまで変化出来る。

だからブラックウルフの見た目の状態でも、二人乗りするには全く問題無い。


「……凄いな。そんなことが出来るのか」


「ふふ、凄いだろ。うちのルーフェイスは」


「あぁ、言葉通り本当に凄いな」


「んじゃ、乗ってくれ」


場所は既に王都の外なので、ルーフェイスの背中に乗って猛ダッシュしても問題無い。


「馬には乗ったことがあるが、ブラックウルフの背中に乗るのは初めてだな……悪くない景色だ」


「狼に乗るのを悪くないだろ。それじゃ……行くぜ」


本当は狼ではなくドラゴンに部類されるが、ここは敢えてオオカミと言っておく。

そして俺が出発してくれの言葉を言うと、ルーフェイスは一気に加速。


「ッ!!!! と、とんでもない速さだな」


「だろ。ルーフェイスはスタミナ多いから、長時間今ぐらいの速さで走れるんだよ」


「なるほど……この速さなら、昼前には着きそうだな」


ルーフェイスが毛を俺たちの体に巻き付かせてるから、速さや動きで俺らが振り落とされる心配はない。


基本的には道沿いを走り、街が見えてきたら森の中に入ってスルー。

全く止まることなく、ぐんぐんと目的地に向かって走り続ける。


偶にモンスターとすれ違うことはあるけど、今回は目的の宝石を採掘するのが第一優先だから、モンスターに構うことなく進む。


はぁ~~~~~、マジで風が気持ちい。

というか、全然酔わない。


まだ直線の道しか進んでないからかもしれないけど、ルーフェイスのやつ……人を乗せて走るの上手くなった>

毛で固定してくれるのもプラスされて、超良い気分なんだが。


「そういえばスレイド、手に入れた宝石を使ってどんなアクセサリーを造って貰うのか決めたか?」


「一応決めてる……その、指輪にしようかと思ってる」


「指輪か……良いと思う。絶対フローラさん喜んでくれるって」


「そ、そうか? それなら良いんだが」


スレイドはそこら辺自信無さげだな~~~。

どう考えてもフローラさんはスレイドに惚れてると思うんだけど……本人的には、あまり解らないものなのか?


スレイドからのプレゼントなんてもらったら、喜ぶを越えて嬉し過ぎて涙を流すんじゃないか?

プレゼントを渡すというサプライズ? にここまで悩んでるってことは、多分今回がプレゼント初だよな。


それを考えると……フローラさん、結構ガチで泣いて喜びそうだな。


「ただ……夏休みが終わるまでに見つかるか、正直不安ではあるな」


「それは俺も同じだよ。ルーフェイスの脚なら時間ギリギリまで採掘作業を続けられるけど、鉱山の隅から隅まで探せる訳じゃないからな」


移動する時間は問題無いと思うけど、問題は採掘作業なんだよな。

それなりに出来るつもりだけど、あんまり早く終わらせようと思って急いだろ鉱石や宝石を傷付ける可能性がある。


売るつもりじゃないから別に少しぐらいなら大丈夫かもしれないけど、やっぱり傷付けないで採掘できるに越したことはない。


成功されるために俺も気合を入れなければ!!!

なんて思ってると、あっという間に目的の鉱山へと到着。


……多分、まだ正午まで二時間弱ぐらいあるよな?

分かってはいたけど、本当にルーフェイスの脚は尋常じゃないな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る