結果が見えていたとしても
「いや、別に大したこと考えてないぞ」
「ラガスが悪い笑みを浮かべる時は、大抵面白いことを、考えてる。だから、聞きたい」
うっ!! いや、別に面白いことではないと思うんだが……よくよく考えれば面白いか?
でも今回の一件で俺は第三王子をボコボコにして圧勝した。
なのに学生同士の国際大会をしようって……どう考えても虐めだよな。
「……あまり良い内容じゃないぞ」
「それでも、聞きたい」
「そうか……俺とセルシアは超強いだろ」
「? うん、そうだね。まだまだラガスには追いつけないけど、強いと思う、よ」
確かにまだ素の実力は俺の方が上だけど、セルシアの潜在能力を考えればうかうかしてられない。
「それに加えてさ、リーベも強いだろ」
「リーベ……うん、そうだね。対戦相手の人も強かった。でも、リーベの方がもっと強かった」
確かにライド君も強かった。
お互いに武器を除いた素の力だけでも同学年に敵はいないだろうし、上級生であっても二人に勝てる人間は多くない筈だ。
「国内学生同士じゃなくて、国対国で学生対抗戦をすれば俺たちが圧勝するんじゃないかと思ってさ」
「国対国の……代理戦争?」
「い、いや。そんなおっかない理由じゃなくて、単純に力を競い合うだけの戦いだよ」
全くもって戦争をしたいとは思ってない。
というか、仮に代理戦争だとしてもお互い、何を賭けることになるんだ?
てか、代理戦争という名目で戦うなら絶対に裏で何がなんでも勝利を得ようと暗躍する人たちが現れそうだし……純粋な学生同士のバトルにならなくなるな。
「なるほど! それは面白そう!」
……うん、ガチで面白いって思ってるな、この顔は。
普段からあまり表情に変化がないセルシアだけど、この表情は誰が見ても楽しい、面白いと思ってると解る顔だ。
やっぱりセルシアも結構バトル好きだよな。
「まぁ、俺も面白そうだとは思うぞ。フォロスたちだって中々強かったし、二年生や三年生の中にはもっと強い連中もいるだろう」
フォロスがアルガ王国に在籍する十三歳の中で一番強いとも限らない。
本当に強い奴は立場や種族とか関係無いからな。
「国王様に提案すれば、私たちが在学中に、開催されそうじゃない、かな?」
「ど、どうだろうな。もしかしたら本当に開催されるかもしれないけど……その提案をアルガ王国が受けるかどうかは分からないからな」
仮に国際大会を開催するにしても、同学年同士で戦うのか、それとも全学年混合で戦うのか。
もしくはダブルス戦も行うのか……五対五のチーム戦って案も出るかもしれない。
…………考えれば考えるほどちょっと面白いと思ってきたな。
ただ、現段階で戦えば同学年だろうが全学年だろうが、負ける気はしないな。
「それにさ、仮に……仮にだぞ。同学年同士で五対五の団体戦を行うってなったらどうなると思う」
「どうって、五対五だと……多分、私たちが絶対に勝つ、かな」
「そうだろ。限りなく百パーセントに近い確率で勝つ」
俺は獣、鬼、竜魔法を使って良いなら絶対に負けない。
セルシアだって同学年なら俺以外に負けないだろ。
剣と魔法、両方が一流に届く実力を持つ、努力するスーパーエリートだからな。
そのタイプにリーベもあてはまる。
魔法の才はセルシアと比べて劣るかもしれないが、体術に関しては圧倒的にリーベの方に分がある。
羅門まで使えば、大抵の相手は圧倒出来る。
後は……まぁ、あれだ。
魔法の才に関しては超ずば抜けてるイーリスがいる。
接近戦に関してはまだまだ甘いが、鍛えればなんとかなる……と思う。
俺の言葉なんて素直に聞くかどうかは知らないけど。
他にはジークがいるし、ダブルスで戦ったあの鋭いオーラも持つ槍使いもいる。
フォロスと良い勝負になりそうだけど……比べた感じ、腕力はあの槍使いの方が上か?
何はともあれ、同学年同士で戦えば勝ちは眼に見えている。
「仮に行うとしても全学年対抗……でやっても、今年残ってる面子で戦えば多分勝つだろ」
「ん~~~……そうかもしれない、ね。でも、観客は、楽しいバトルを、観に来る。だから、結果私たちが勝っても、良いんじゃない、の?」
「それはそうなんだが、それが分かっていながらアルガ王国が受けるかどうかが最後の問題だろ」
国際大会が行われるとして、学生たちに参加者を募れば絶対に多くの生徒が参加したい筈。
それはアルガ王国も同じだと思うが、問題はアルガ国王が最終的に承諾するかどうかだよな…………ただ、面白そうではあるから、ガルガント国王に会う機会があれば一応提案してみるか。
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