どうやって潰そうか……
「クソが、頭が痛くなってきた……なぁ、ぶっ殺したら駄目なんだよな」
「さすがに駄目ですよラガス坊ちゃま。お怒りになる気持ちは解りますが、一国の王子を殺すのは不味いです。せいぜい潰す程度で抑えた方が良いかと」
そうか……そうだな。
ぶっ殺すのは国と国の問題になるからよろしくない、な。
でもな、この問題をタダで解決するのは割に合わない。
両国から何かしらを貰わないとな。
「ラガスさん、なんか悪い顔してるっすけど……何か良いことでも思い付いたんっすか?」
「思い付いたというか、当たり前のことを思い出しただけだ。俺はこの夏休みも自由に満喫するつもりだったんだが、そのクソ王子が邪魔してきやがった。それなら、当然こっちも貰う物を貰っても良い筈だよな」
「その権利はある、と思う」
そうだよな。セルシアが賛同してくれるってことは、俺は間違ったことを考えていない。
ただ……こちらの国王様に無茶な要求をするのは止めとくか。
国内の貴族であれば突っぱねられるだろうけど、俺とセルシアの関係にいちゃもんを付けてきた相手が隣国の王子であれば、そう簡単に対処出来ないのも仕方ない。
大金か……もしくは多少の権力か、珍しいマジックアイテムでも貰うか。
「明日、城から使者が来ると書いてますね。国王様が直々にお話するのでしょうか?」
「どうだろうな……国と国の問題って感じだし、宰相かもしれない」
別にわざわざ国王様が相手でなくとも気にしない。
というか、国王様が相手だと緊張するから他の人が良いまである。
「ラガス坊ちゃま、一応旦那様や奥様に連絡しておいた方が良いのではないでしょうか」
「そういえば夏休みは戻るって言ったからな……こういう事情から実家に帰る時期が遅くなるかもしれないって伝えた方が良さそうだな」
できれば、さっさと終わらせて帰りたい。
しかし、そう簡単に終わるとは思えない……そもそもアルガ王国の王都に着くまでそれなりに日数が必要だ。
……チッ!!!! やっぱり片足や片腕、もしくは片目ぐらい潰しても良いよな。
こっちの夏休みも潰す様な真似しやがって。
第三王子を目の前にして、冷静でいられる自信がないな……絶対に敬語は使えない鬼がする。
というか、俺たちの関係に文句があるならそっちがこっちに来いよ。
どこを突っついて更に色々と貰ってやる。
「少々殺気が漏れていますよ、ラガス坊ちゃま」
「おっと、すまんすまん。どうやってこのクソアホ王子を潰してやろうかと思うとな……うん、絶対にぶっ潰してやる」
「その意気込みは大賛成ですね。今回の件に関して、相手側が少々横暴かと思います。周囲の人間と王子が警戒する前にボコボコにするのが賢明かと」
「ふっふっふ、そうだな……盛大にボコボコにしてやる」
腐っても王子だ。
アルガ王国にとっては大切な存在。
第三王子の意見を無視して戦いを終わらせてでも、その命を守ろうとするだろう……死の一歩手前まで追い詰めてやるのもありか。
「ラガスさん、漏れてるっす。ちょっとストレス発散しますか?」
「……悪いな、シュラ。模擬戦付き合ってくれ」
「了解っす、任せてください!!!」
模擬戦相手はセルシアやメリル、ルーフェイスでも良いんだが……今は五体を使って戦いたい気分だ。
直ぐに庭に出て準備運動をしてから、使うアビリティは身体強化のみ。
それだけ条件を付け、思いっきり戦った。
久しぶりに全力に近い感覚で戦ったからお互いに骨は折れてないけど、罅は入ったと思う。
「どうっすか、スッキリっすか?」
「おう、かなりストレスが消えた。有難な」
模擬戦は俺の勝ちで終わり、傷を癒す為に回復弾を使い、その場にごろんと倒れ込んだ。
「それで、第三王子とはどうやって戦うつもりなんっすか」
「……身体強化、脚力強化を同時使用。それに加えて魔闘気を纏う。後はラビットフットを使って……兎に角殴って蹴ってボロ雑巾にする。降参を口にしようものなら、顔を殴って言わせない。審判や周囲の連中が止めようとすれば、ストップが入る前に玉を二つと潰してやる」
「さすがラガスさん、容赦ないっすね」
「殺されないだけ有難いと思えって感じだ」
模擬戦中の事故とはいえ、殺すのは不味いだろうからそれだけは勘弁してやるよ、ポンコツ王子。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます