メンバー集合

しっかりと朝食を食べてから会場に到着したんだけど……人の熱気が尋常では無いな。

やっぱり団体戦が一番盛り上がるってのは本当みたいだな。


「……庶民からは中々応援されている様ですね、ラガス坊ちゃま」


「みたいだな」


学校から会場に向かうまでに多くの人達に声を掛けられた。

それらの殆どが俺を応援してくれている声だったな……うん、素直に嬉しかった。


中には俺がセルシアという絶世の美女とパートナーであることに嫉妬して暴言を吐いている奴もいたが……正直痛くも痒くもなかった。


「でも、やっぱりセルシアの方が人気はあるよな」


「そう、なの? 気にしてなかった、から……あんまりよく分からない」


あぁ~~、確かにセルシアはあんまりそういった事情に興味は無さそうだなもんな。

でも、一緒に歩いていて応援されている割合はセルシアの方が多かった気がする。


まっ、中には賭けで一儲けしたいからって理由で俺達の勝利を願っているギャンブラーもいたけどな。

その気持ちは解らんでも無いから、特に嫌な気持ちにはならないけど。


「そういえばラガス坊ちゃま、どうやって戦うのかは決まったのですか?」


「何となく、な。一撃必殺だけは気を付けておこうと思っている」


「私も、それは、気を付ける、よ」


試合開始早々にぶっ放してくる奴は、大体その気持ちが前面に出過ぎているから結構分かりやすいけどな。

それでも中には上手くその気配を消す人がいるかもしれないし……結局は油断出来ないって訳だ。


「それはなによりです。それでは、私達は観客席に戻りますので」


「「「「ご武運を」」」」


控室に入る前にメリル達とは別れ、二人で中へと入る。

すると中には既に俺達以外、全員揃っていた。


「あっ、やっと来たわね」


「のんびり来たつもりは無かったんだけどね」


「それでも、一番最後とは重役出勤だな」


「ちょっとアリク、開始の時間までにはまだまだ時間があるんだから文句言わないの!!」


はっはっは、二人らしい会話だな。

でも、流石に一年生の俺達二人が最後に入ってくるってのはちょっとあれだったか?


「二人は今回の団体戦で重要な役割を担っている。最後にやって来ることぐらい、全く問題無いよ」


「そう言ってもらえると心が軽くなりますよ、リース会長」


「ありがとう、ございます」


「二人共今日は頑張ろうねぇ!!!」


完全に油断していると後ろからサルネさんに抱きつかれた。

もちろん、セルシアも一緒に。


というか……ヤバい。色々とヤバい。

セルシアとはまた違う女性の香りとか押し付けられる胸の感触とか……俺の息子に色々と毒だ。


「そ、そうですね。頑張って行きましょう」


なので、理性を保つためにするりと俺は抜けた。

だが、セルシアはどうすれば良いのか良く解らず、人形みたいにサルネさんによしよしと撫でられていた。


「それで、調子はどうかな?」


「問題無いですよ。要望にもしっかりと応えますよ。ただ……相手がいきなりぶっ放して来たら上手く対応するのは無理ですけど」


「それは仕方ないね。ラガス君相手にそういった手段を使って勝とうとする相手がいないとは思えない。君の戦力を考えれば、そうでもしないと勝てないと考える者が多い筈だ」


褒めてくれるのは嬉しいが、それはリース会長も同じだと思うんだけどな。

寧ろ俺じゃなくて、リース会長にそういう手を使ってくる場合も……いや、団体戦にはインターバルがあるんだから、恥や外見を捨てて五試合とも初撃で終わらせようとして来ても不思議では無い、か……そういうのを考えてると戦うのがちょっと面倒に思えるな。


「ラガス、学校側から何言われたの?」


あれ? 瞬殺しては駄目だって件に関してクレア姉さんとかは知らなかったのか?

リース会長の方に顔を向けると、少しやらかしてしまったという表情になるが、直ぐに諦めた。


「そうなんだ、ラガス君は……一言で言えば強過ぎる。三年生という枠に入れてもだ」


「そりゃそうよ、私とアリクの弟なのだから!!!」


「……そこには同意だな」


他の三人もその意見に同意してウンウンと頷く。

自分でも強いとは解っているけど……あんまり本人の前で言わないでくれ。


「だから、学校側はラガス君が本気を出して戦ったら全ての試合が速攻で終わると思っている。勝つのは勿論良い事なのだが、観客としては面白く無い」


「……あっ、なるほど。解ったわ」


「俺もだ。なるほどな、強過ぎるのも困るって話か」


そうなんだよ、アリク。

傲慢だと思われるだろうけど、今回に限っては少々困ったというか……面倒なんだよ

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