たまには返す

「……まっ、やっぱりこんなもんだよな」


「そう、だね。あんまり、期待しない方が、良かった、ね」


三回戦目が終わり、その後も決勝戦まで進んだのだが……正直、どれもどんぐりの背比べだった。

やっぱり特別強かったのはクロウザだけだったな。


魔法に関してはイーリスに迫る生徒はいなかった。

いや、しっかりと実力を確認すれば同等ではなくても迫る生徒はいたか?


でも……実戦的な強さを考えればイーリスに迫る後衛タイプはいなかったな。


ダブルスの大会も優勝したので、俺はシングルスとダブルスの大会の優勝者になる。

そして二年生のダブルスに関しては惜しくも二位という結果だったが、三年生のダブルスはリース生徒会長とアリクがタッグを組んでいたので圧勝して優勝をもぎ取った。


「アリクとリース会長が組めば、そりゃ敵無しだろうな」


因みにサルネさんはクレア姉さんのコンビは惜しくも三位だった。


「……うちの学校って、結構強い感じか?」


「ラガス坊ちゃま含め、カロウス様達は全員同じ学校に入学していますからね」


「あぁ~~~……なるほどね、納得した」


三学年全てが強い時期が来なくても、どこか一学年は絶対に強い時期があるって事か。

というか、アリクとリース会長のタッグていうのはちょっと不思議というか以外だったな。


てっきりサルネさんと組むのかと思ってたけど……もしかして思いが冷めたのか?

いや、でもそんなに軽い男では無いだろうし……分らん。


「とりあえず、残るは団体戦だけだな」


「そう、だね。団体戦も……優勝、じゃないかな?」


「はっはっは、確かにな。今回の面子を考えれば多分優勝は間違いないだろう」


周囲には他校の生徒も大勢いるが、思わず言葉に出てしまった。

俺達の言葉に反応した生徒達が口には出さないが、俺とセルシアに鋭い視線を向けてくる。


う~~~ん、流石に無神経過ぎたか。

自身が所属する学校の勝利を願っている生徒達は当然多いだろうし、少し気を抜き過ぎてたか。


「俺としても団体戦は優勝かと思うっす」


「自分もシュラと同じ意見です。セルシア様やラガス様、それに三年生達の実力を考えれば問題無く優勝出来るかと」


……うん、シュラもルーンも周囲からの視線はあまり気にしてないみたいだな。

ますます周囲の視線が鋭くなる。

というか「あいつ調子に乗り過ぎだろ」とか「なんであんな属性魔法が使えない屑が」の他に「あんな奴、セルシア様のパートナーとして似合わねぇよ」とかとか言われてる。


なんと言いますか……あれだよな。俺には悪口飛んで来るけど、セルシアには絶対飛ばないんだな。


まぁ、あるていど親の爵位が高かったり、自分の容姿や実力に自身がある人ほど俺を妬みやすいんだろう。

これでも実力に関してはしっかりと努力を積んで手に入れたんだけどな。


「……ラガス坊ちゃま、言ってくだされば消しますよ」


「止めろ止めろ。消すのは不味いって」


流石俺のメイドさん。今日も敵意が振り切れてるね。

でも、やっぱり俺もちょっとイラっとくるし……俺に対して悪口言った奴らにやり返しても良いよな。


「ラガス……なんか、ちょっと悪い顔、してるね」


「バレた? 俺も黙ってばかりいるのはちょっとな、って思ってさ」


とりあえずお腹がピーピーになる呪いを込めた弾丸を姿を消し、俺に悪意を持って陰口叩いている奴らに当てた。

相手が体を魔力や闘気で覆っていたら効果は薄いが、そんな用心している奴らはおらず……もれなく全員この場から去ってトイレに直行した。


「私が言うのもなんですが、やはり恐ろしいですね」


「そういえばメリルも同じ事を出来るのでしたよね。ラガス様、因みに魔力の減りは大丈夫なのですか?」


「あぁ、特に問題無い。そこまで体に毒って感じの効果じゃ無いからな」


「……だ、だとしても試合中に使えば相手側の選手は悲惨な結果に涙を流すでしょうね」


確かに試合中にクソを漏らしてしまうとか、下手したら失禁よりアウトな結果か?

流石に今回は使わなかったが、対戦相手がよっぽどの屑なら使っても良いか。

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