負けたくない理由はある
「向こうは素手同士で戦うらしいし、俺らは剣同士で戦おうか」
既にセルシアとカレア・デーリスル駆け出し、軽くお互いにまずは様子見って感じかな。
「安心しろ、直ぐに潰してやるからよ」
「はっはっは、それは無理な相談だな」
確かにそういうセリフを吐くだけの体格はあるが、ぶっちゃけそこまで強さは内容に思える。
「ふんッ!!!!」
おっ、パートナーのカレア・デーリスルとは違って開幕速攻で本気か?
身体強化と腕力強化を同時に使用してるだろうし……あとは、持っている魔剣の類の大剣による身体強化の効果か。
見た目的にそこまで魔力量があるとは思えないが……とりあえず俺もセルシアと同じく様子見だな。
基本的な剣術は習っている様で、太刀筋はあんまり乱暴では無い。
ただ、その見た目と扱っている武器が大剣ということもあって迫力はあるよなぁ……ただ、今のところそれだけか。
「く、そがッ!!!! チョロチョロと動き回りやがって!!!」
「そりゃ俺もそんな大剣を食らったら大怪我するからな。チョロチョロ動いて躱すに決まってるだろ」
「うるせーーーッ!!!!!」
若干スピードが上がったように思えるが、それでもまだまだ危機を感じはしないな。
にしてもボレアス・ドランガット……大剣術に関してはそこまで才は無いのか? それとも努力を重ねていないのか?
あんまり技の方にキレがないんだよな。
「その表情、本当にウザいなッ!!!!」
近距離で魔力の斬撃を容赦なく放って来るが、軌道がまる解かりなので問題無く避けられる。
てか、表情がウザいって酷くないか?
別に今はそんなニヤニヤした面はしていないと思うんだが……まっ、この場に鏡は無いから俺が今どんな顔をしてるのかは分からなくて当然か。
「昇爆斬!!!!」
「おっと、それは受けたく無いな」
俺から距離を取ったと思ったら昇爆斬を出してきたか……一応スキルレベルはそこそこなのか? あいつの技量があんまり読めないな。
地面に全力で大剣を振り下ろし、そこが起点となって地面に罅が入る。
そして狙った対象の足元まで辿り着くと爆破……罅が入る速度が個人の技量にそこまで関係無い。
だから……自分に使われるとちょっと嫌な技の一つだ。
「でも、解りやすいから対策しやすいってのもあるけどな」
当然、俺は避ける。
そもそも、大剣を全力で地面に叩きつけるなんて予備動作が大き過ぎる。
ただ、躱すタイミングを見誤るとモロに食らってしまう可能性がある。
使用者の意思次第で大剣を地面の叩きつけるまでの間に、軌道は変えられる。
「ちっ!! 避けるのだけは一丁前だなッ!!!」
「……そんな三下みたいなセリフを使うなよ。雑魚キャラに見えるぞ」
俺の今までの試合を観ていたら、そんな事は思わない筈なんだが……もしかして俺の試合を一回も観ていないのか?
自分で言うのはあれだが、今回の大会の中ではまぁ……悪い意味で有名だと思ってたんだけどな。
「つーか、そんなちょろちょろ避けてる俺に一撃を当てられないなんて、お前の力量も大したこと無いみたいだな」
「黙れッ!!!! 俺はお前みたいな甘っちょろい覚悟でこの場に立ってる訳じゃなねぇんだよッ!!!!!!」
ほぉ~~~、覚悟……ねぇ~~~~。
確かにそんな無い……というか無い気がする。
セルシアとのシングルスでは絶対に負けたく無いって気持ちがあったけど、それ以外の戦いではそんな覚悟っていう重い感情は持っていなかったな。
そんな感情を持ってるって事は、次期当主なのか……もしかしたら親や兄弟が騎士団関係の人なのか? 確かに将来国を守る者になるかもしれないボレアス・ドランガットにとっては、負けられない大会なのかもな。
ただ、俺としてもパートナーであるセルシアやその実家の評判に泥を塗りたくないという思いはある。
「覚悟、ねぇ~~~……あのさ、そういう御託は俺に勝ってから吼えろよ。口だけは一丁前さんよ」
ーーーーーーーーーーーーー
熱が出て倒れてました。投稿遅れてすみません。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます