残るは決勝戦

ライオットを倒し終えた後、その後は四回戦と五回戦も当然の様に勝利した。

学生という事を考えれば弱くは無かった。寧ろ強い部類だろう。


でも所詮学生は学生。イーリスの様な特別な才も無かったので手こずる事無く試合は終わった。

二年生のシングルスではロッソ学園の生徒が決勝戦に残ることは無かったが、それでも三年生のシングルではリース会長が決勝戦に残った。


いや~~~、あの人俺が思っていたよりも化け物だった。

マジやり合えば俺が負けることは無いだろうし、シュラもメリルも負けることは無いと思う。


ただ、準決勝でクレア姉さんが負けた。

勿論圧倒的にボロカスに負けたわけでは無く、かなりの接戦だったと思う。


それでもまぁ……相性が悪かったというべきか、俺とイーリスの戦いに似ていたな。

基本的にクレア姉さんは魔法職の遠距離タイプ、そしてリース会長は中途半端では無く、レベルが高く両立している魔法剣士タイプ。


やや剣術の方が得意といった感じだったが、とりあえず相性が悪かった。

それでもクレア姉さんは近づかれたら杖と短剣で応戦し、接近戦でも高い実力を見せ付けていたな。


観客達の中には本当に魔法職なのかって驚いた顔をしてる人が多かったけど、あそこまで出来てこそ実戦で戦える魔法職だよな。

そして決勝戦の相手はアリク……どうなるのか。


一応アリクは俺の兄なんだからアリクに勝って欲しいと思ってるけど、流石は二つの騎士団から声が掛かってるだけあってリース会長は超強い。


アリクだって今まで頑張って来たのは分る……解かるよ。

でも、難しいところだと思う。


「ラガス坊ちゃま、難しい顔をされていますが何を何を悩んでいるのですか?」


「いや、悩んでるというか……三年生の決勝戦でアリクが勝てるかちょっと不安でな」


「あぁ、なるほど。そうですねぇ……相手がリースさんでなければ問題は無かったでしょう」


「メリルの言う通りっすね。あれはあの歳を考えれば中々のものっすよ」


だよな、俺もそう思う。

まぁ……俺達はその歳にしてその強さはあり得ないだろって思われてるだろうけど。


「そこまで大きな差があるとは思いませんが……ただ、魔法の腕はリースさんが上でしょうね」


「やっぱりそうだよな」


イーリスよりも才が上だとは思わないけど、それでも技量ではそこまで差は無いだろう。

それに対して剣術はどうなのかと言えば……ちょっと比べるのが難しいんだよな。


「剣術は……ちょっと比べるのが難しいよな」


「アリクさんはどちらかといえば剛の剣、リースさんは柔の剣っすからね」


扱う剣質が違うからハッキリとどちらが上とは言えない。

ただ、アリクだって柔の剣が使えない訳では無い。そう考えれば剣術面ではやっぱりアリクの方が上か?


「ところでラガス坊ちゃま、後少しで始まる決勝戦に集中しなくても良いのですか?」


「相手はパートナーのセルシアさんっすけど……どう戦うんですか?」


「どう戦うか……とりあえず、剣をメインで戦ってみようと思う。それが語り合うには一番良いからな」


お互いに使う武器は長剣。

ただ、セルシアが持ってる長剣がちょっと洒落にならないんだよなぁ……俺が持っているアブストラクトも大概だけどさ。


「それと、メリル……俺が負ける姿が想像出来るか?」


「・・・・・・いいえ、無理ですね」


そうだろ、相手が誰であっても学生相手には負けない。というか、これだけチートを神から貰っておいて負ける訳にはいかない。


「ですが、万が一はあり得るかと」


「それは分かってるよ。だから全力で楽しみはするけど、油断はしない」


現時点での身体能力では絶対に負けない。剣術でも負けない……とは思う。

こっちは色々と手札が揃っているんだ。どんな攻撃にも対応出来るように考えておかないとな。


「……ラガスさん、審判がリングに出てきました」


「決勝戦開始の合図だな。……よし、行ってくるわ」


「「ご武運を」」

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