商売道具をボキっと
SIDE ラガス
三人で話し合うのも楽しかったが、気分転換に外に出ることにした。
といっても本当にブラブラと喋りながら歩いてるだけ。
ただ、それでも楽しい事に変わりなかった。
適当に出店で昼食を取り、露店の売り物を見回りながら歩く。
しかし途中で何やら騒がしい集団を発見し、野次馬根性を出しながら近づいて行くとそこにはメリルとシュラに、その友達達? が大勢いた。
そして対立するように立っているのは三人のハンターだった。
正確に言うならばハンターになりたてのルーキーだろう。
体の分かりやすい位置にハンターカードをぶら下げている。
ただ、それが見えなければ正直チンピラに見えなくもない。
どうやらメリル達が一緒に男子達と行動しているのにも関わらずナンパされ、それにシュラ達が割って入ったってところか。
大勢の人が見ているという事もあり、直ぐには出を出さないシュラ。
それは良い事だと思ったラガスだが、相手が本当の意味で馬鹿そうなので自分達も乱入して会話に参加する。
どうやら予想していた通り本当の馬鹿だったようだ。
ハンターとして生きてるのにいちいち貴族の子供なんかにビビってられるか、みたいなことを言っていたが……まぁ、その度胸が悪いとは言わない。
ハンターもそういった世間体は大事だろうし、なにより初心者らしい世間知らずなプライドがあるようだ。
ただ……世の中、ハンターになりたての様な何の後ろ盾も無いルーキーが喧嘩を売ってはならない人が・・・・・・結構いるな。
俺やロックスの場合は家がそんなご立派って訳じゃ無いからあれだが、俺の隣に立ってる人は正真正銘公爵家のご令嬢だ。
って、そんな事を言ってもこいつらがそれを素直に聞き入れるとは思わない。
なので俺はシュラにぶっ潰して良いと許可を出した。
するとシュラはかなりイライラが貯まっていたのか、三人が見えない速度で動き出す。
ボディーブローと金的を一発三人に入れる。
「「「グボっ!!?? オロロロロロロ~~~~~ッ!!!!!」」」
綺麗に一発ずつ喰らった三人は股間を両手で押さえながら地面に倒れ伏し、盛大にゲロった。
それを見ていた周囲の野次馬達から小さな悲鳴と三人を完封したシュラを褒め称える声が飛ぶ。
「次からナンパする相手は自分達の身の丈に合った者を選ぶんだな」
そう言いながらシュラは……マジか、三人が携帯していた武器を踏み潰しちゃったよ。
あぁ~~~、大事な商売道具を壊されちゃあいつらも碌な依頼を受けられないな。
同情……はしないな。まっ、ドンマイって話だ。
「ラガス、ちょっと悪い笑顔に、なってる」
「だってなぁ~。あれだけ調子に乗ってナンパして攻撃的な口調で攻めてた割にはショボ過ぎるだろ。それに、ころであいつらのハンター人生がどうなることやら」
「? なんで、そういう話に、なるの??」
「セルシアさんはまだそこまでハンターの事情に詳しく無かったんだったね。彼は身に付けていたハンターカードを見る限りウッドランク。つまり九あるハンターランクの中で一番低いランクなんだ。だからハッキリ言ってあんまりお金を持ってない。新しい武器を買えるお金があるかどうか……怪しいところだね」
「なるほど、それは、どうなるか分からない、ね」
ロックスの言う通りだ。
元が一般市民でないなら話は別だが、こいつらがそうには見えない。
「シュラは容赦が無いですね」
「メリルでも似たような対応をしただろ」
「まぁ……そうですね。ついでに服も切っているかもしれません」
「ぶふっ!! そ、それはご愁傷様過ぎるな」
確かにメリルならそういう事も出来るか。
さて、とりあえず忠告だけしておくか。
ゲロってる三人の前に立ち、見下ろしながら伝える。
「これがお前らの実力だ。粋がる程大した実力を持ってないんだよてめぇらは。ハンターになったから強いんじゃ無いんだよ。ハンターとしての修羅場を潜り抜けた人が強者になれるんだよ。しょうもない勘違いしてんじゃねぇーぞ」
言いたいことは言い終えたのでメリルとシュラに軽く声を掛ける。
「シュラ、メリル。俺ら晩飯も外で食べるから二人共ゆっくりしてきて良いからな」
「かしこまりました。お気を付けて」
「分かりました。無いとは思うっすけど、怪我無いように」
「おう、そこら辺はちゃんと気を付けるよ」
面白い馬鹿を見るのは今のだけで十分だ。
夕食をのんびり食事と会話が楽しめるところを選ばないとな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます