同じ執事からの誘い
SIDE シュラ
「シュラ、頼む! 俺達と一日付き合ってくれ」
「……すまん、俺にそういう趣味は無いんだ」
「アホッ! そういう意味じゃねぇーーよッ!!」
ならどういう意味なんだ?
現在同じ執事であるマックから何かを頼まれているが、付き合ってくれって言われても……男女の関係を指す意味でなければ、どういう付き合いなんだよ。
「シュラ、マックは今度メイド達と三人と一緒に主人に休暇を貰って遊びに行く約束をしたらしいんだ」
「そうなのか……それはおめでとう。それなら別に俺は必要無いだろ」
「それがだな・・・・・・マック、自分の口で言え。元凶はお前だろ」
「うぐっ!! そ、そうだな。俺が言うのが筋ってものか」
元凶とか?
何故ただメイドの女子達と遊ぶのに元凶とかが存在するんだ??
「えっとだな……最初は断られたんだよ。そんで、そん時に咄嗟にデイビスとシュラも誘うって言っちまって……それでシェリー達は了承しちまったんだよ」
シェリーと言えば、確か執事達から人気のあるメイドだったな。
ということは、いつも一緒にいるルナやエリスも来るのか?
こちらが三人という事は向こうも三人で来るのだろう。
「それで、今更断るに断れない状況になったと……お前、もう少し計算して動けよ」
「ぐっ!!! そ、それは悪かったと思ってるよ……でも頼む!! その日だけ俺達と一緒に行動してくれ!!!!」
そんな勢い良く頭を下げられてもなぁ~~~。休日は鍛冶の練習かラガスさんの……そういえば今度の休日は主人組でのんびりと過ごすって言ってたな。
「シュラ、お前の都合が空いてればこの馬鹿に付き合ってやってくれないか」
「デイビス……お前も彼女が欲しいのか?」
「俺をこの煩悩男と一緒にするな。ただ……こいつの場合は数少ないチャンスであろうからな。流石にそれを潰すのは少々可哀そうかと思ったんだ」
は、ははは。優しさが溢れてそうで実際はマックを貶してるよな?
マックは別に容姿は悪くない男だ。
ただ、少し男としての欲望に忠実なところがあり、そこら辺がメイド達に敬遠それている要因となっている。
こいつの主人は至って真面目な人なんだけどな。
「・・・・・・はぁーーーーー。まぁ、別に良いけどさ」
「ほ、本当か!!!!????」
「あぁ、本当だ。本当だから顔を寄せるな暑苦しい」
「よっしゃ!!!! 希望が見えて来たぞッ!!!!!」
周りに誰もいないからって声大き過ぎるだろ。
ただ、一つ気になる事があったのでデイビスに手招きして小声で質問する。
「なぁ、シェリー達はマックだけの誘いには乗らなかったんだよな」
「そうらしいが……それがどうかしたか?」
「俺とデイビスが来ると分かったら行っても良いと答えたんだろ。それなら……マックの奴は最初からシェリー達にそういう目で見られていないんじゃないか?」
ラガスさんもメリルも俺の容姿レベルは高いと言ってくれる。
二人がそう言ってくれるのだから事実なのだろう。
そしてデイビス良い意味で執事らしい外見をしている。
メガネをかけて髪型は特に洒落ておらず、飾らずともイケメンって奴だ。
もしデイビスが少し外見に拘ればギャップでやられる女子が多数現れるだろうな。
令嬢の中にもデイビスのファンはいるらしい。
マックが見た目で俺達より劣るという訳では無い。
それでも……女子がマックの誘いに乗った意図を考えればマックに希望はあるのか?
「それは・・・・・・た、確かにそうかもしれないな。お、俺としたことが完全に見逃していた。それでは、マックに希望は……」
「ゼロとは言わないが、あるかどうかは怪しいところだな」
「……今それをマックには言わない方が良いのだろうな」
「そうだな。とりあえず、今はその方が幸せだろう」
あんなに喜んでいるマックの気分をどん底に落とすのは……流石に気が引ける。
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