授業前に
風呂に入り、ベットに入って今日起きた出来事を振り返る。
決闘に関してはもうどうでも良い。ジークが俺に突っかかる事は少なくなる・・・・・・筈だ。
このパートナー専用の寮で暮らすことに不満は無い。
寧ろ風呂まで付いていて有難い。
問題はクレア姉さんの友達、サルネさんだ。
メリルの話が正しければ、俺はサルネさんに喰われてしまう(意味深)かもしれないんだよな。
いや、本気で抵抗して逃げれば捕まる事は無いんだが、俺の理性がどうなってしまうのか。
それに俺にはセルシアというパートナーが・・・・・・いや待て。そもそも俺はセルシアとパートナーではあるが、別に恋人では無いんだよな?
駄目だ、頭がこんがらがって来た。
セルシアはサルネさんが俺に摸擬戦を挑む理由をちゃんと知っているのか?
知っていて摸擬戦しても良いよって言ってるって事はそういう事はオーケーだということで良いのか?
「ラガス、まだ起きてる?」
「えっ、あぁ。起きてるよ」
セルシアに呼ばれ、体の向きを変えて向き合う。
「ねぇ、ラガスは・・・・・・私の事、好き?」
「ッ!!?? え、えっと・・・・・・まぁ、多分、好きだと思う、よ?」
好きになる理由はあっても、嫌いになる理由は無いしな。
た、ただ何故そんな事をいきなり訊くんだ!?
「私も、ラガスのこと、好きだよ。でも、ね。縛りたいとは、思わない」
へ? そ、束縛はしませんよっていう話ですか?
というか、話の流れ的にもしかしてサルネさんが俺に摸擬戦を申し込んで来た理由を理解していらっしゃる?
「私のお母様がね、言ってたんだ。英雄は色を好む、て。好きな異性を縛っても、心が離れていく。って教えてくれたんだ」
「そ、そうなのか」
セルシアのお母様、まだ十歳の娘に何を教えてるんすか!?
でも貴族の娘って事を考えれば別に普通なのか???
駄目だ。男爵家の四男である俺にその辺りは理解不可能だ。
「で、でもさ。別に俺は英雄って器じゃないと思うんだが」
「それは、私も断言出来ない。でも、英雄は、なろうと思って、成れるものじゃない。自然とそう呼ばれるように、なるもの。私は、ラガスにが英雄になれる、実力は持っている、と思ってる」
「お、おぉう」
でも、英雄になる素質があるからってハーレムだ―、ヒャッハーーーッ!!! って好き勝手して良いもんじゃないよな。
「あの人、サルネ、先輩? は、悪い人じゃない、と思う」
「かもしれないな」
まぁ、クレア姉さんが中身が腐ってる人と付き合うとは思えないし、悪い人では無いと俺は思う。
「だから、別に構わない。ただ、私の事を、ちゃんと見ていて欲しい」
「・・・・・・あぁ。勿論だ」
とりあえず、今サルネさんについて考えるのは止めよう。
こんなにも俺の事を見てくれている人が目の前にいるんだからな。
翌日、俺は朝食を食べてある先生に元へ向かっている。
「ラガス坊ちゃまも律儀ですね」
「別にそういうんじゃねぇーよ。ただ、基本属性の魔法アビリティを習得していない生徒が来れば驚くだろうから、事前に説明ぐらいはしておきたいんだよ」
必須科目以外の授業を四つ受ける。その中で魔法科の一年担任に事情を説明しようと思い、その先生が使っている研究室? へと足を運んでいる。
「ここで良いんだよな。失礼します」
二度ノックをしてから声を掛ける。
すると奥から寝ぼけた返事が返ってきた。
とりあえず返事が返ってきたので、研究室の中へと入る。
するとそこは俺の想像よりも遥かに散らかっていた。
足場が無い訳では無いが、それでも狭い。
「ん? お前は噂の新入生だな。何の用かは知らんが、まぁーとりあえず座れ」
先生に促されてとりあえずソファーに座った。
ソファーの上だけは何も置かれていないんだな。
「俺は一年魔法科担当のサックス・バレントだ。お前さんはラガス・リゼードだろ? リゼード家の子供達は優秀な奴ばっかりだったからな」
見た目は三十代で、とても貴族には見えないボサボサでだらしない恰好をしている。
ただ、駄目な大人好きの女性からは好かれそうな見た目だな。
「自己紹介は要らないみたいですね。とりあえず先に要件を伝えさせて貰います。バレント先生が担当する魔法科の授業に自分も参加しようと思っています」
「そうか。別にそれは全く構わないが、ラガスは基本属性の魔法アビリティを使えないんじゃなかったのか?」
「はい。ただ、どんな魔法の種類があるのか。それだけでも知っていれば今後の人生に色々と役に立つと思うので」
特に何も隠すことなく自分が思った事を伝える。
するとバレント先生は面白い物を見つけたような表情を浮かべ、小さく笑っていた。
「そうかそうか、それは良い心がけだ。ただ、ラガスは確か接近戦が得意だったんだな」
「はい」
俺の全ての手札を考えれば接近戦が得意と言って良いのか分からんけど。
「それなら、良ければでいいんだが生徒達の心をへし折る係をやって欲しいんだ」
・・・・・・えっと、何故にそんな係を俺が?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます