望む結果になって良かった
「ただいま」
「おかえりなさいませ、ラガス坊ちゃま」
「おかえりなさいっす。その状態からしてもしかして戦わなかったんですか?」
やっぱりそこに疑問を持つよな。
「最初だけ俺から手を出した。とは言っても、戦闘不能にしたのは下の連中だ。その後に幹部とマスターが出て来たんだよ」
「その者達とは一触即発の雰囲気にはならなかったんですか。いえ、そうならないのが私としては望む結果なのですが」
その結果になって俺もぶっちゃけ安心している。
戦わずに目的を果たせるのに越した事は無いからな。
「一人だけ好戦的な奴はいたけど、全員俺が全力の本気を出したら戦うって選択肢は無くなったみたいだ。まっ、ルーフェイスにも全力中の全力を出してくれたお陰でもあるけどな」
『ふふっ!! もっと褒めてくれても良いんだよ!!!』
よしよし、もっと撫でまくってやろう。
「ルーフェイスの全力中の全力と言えばあの姿っすよね・・・・・・そりゃーー、手を出さないってのが一番正しい選択しだ。それでそいつらはラガスさんの要求を呑んだんですよね」
「ああ。なにか依頼があれば連絡してきてくれって水晶玉系の通信魔道具を渡された」
「そうですか・・・・・・ともかく、これでひとまず目的は達成したという事ですね」
「そういう事だ。とりあえず後の夕方までの時間はのんびりと王都を散策しよう」
特に戦闘は無かったが、精神的疲労が無かった訳ではないからな。
にしても、俺がトップになったからって理由でディーザスを辞めるメンバーが出たりしないよな?
もしそんな事になれば俺が暗殺ギルドに関わってるってことが広まってしまう可能性がある・・・・・・今度ゼロに聞くか。
あっ、とりあえずバルンク様に感謝の手紙を書いておかないとな。
後日、俺達はウォッツさんの武器屋にやって来た。
「どうも、お久しぶりです」
「おう!! 随分と久しぶりだな。今年から学生だったか」
「入学が決まったらですけどね」
「ラガスなら問題無いだろう。もしかすると首席で合格かもしれんな」
別にそこまで頭は良くないんだけど。
というか、例え主席に慣れる程頭が良くても目立つからそれは絶対に嫌だ。
「メリルも大きくなったな。そんで、そっちの鬼人族の坊主はラガスの新しい従者か?」
シュラは種族的に今の年齢でもかなり身長が高いんだけど、それでもウォッツさんからすれば坊主に変わりないのか。
「シュラと申します。ラガスさんに救われ、今はラガスさんの専属執事です」
「そうかそうか・・・・・・うむ、中々良い面構えだな。良い執事を見つけたじゃないかラガス」
「偶々ですよ偶々」
あれは本当に偶然が重なった結果だ。
偶々俺とメリルがシュラとリザードマンが戦っている場所の近くを通らなかったら会う事も無かったんだし。
「にしても、中々鍛えてるみたいだな。まっ、ラガスと一緒に居れば必然とそうなるもんか。それと、鍛冶もやってるみたいだな」
あれ? 俺ウォッツさんにシュラが鍛冶をやってるって伝えてないと思うんだけどな。
「ある程度熟達した鍛冶師になれば見ただけでそいつが鍛冶をやってるのか解るんだ」
へぇーーーー。ある程度戦闘経験を積んでれば相手の強さがどれぐらいのものなのか解るのと一緒って感じか。
てか、サラッと俺の心読まないでくれよウォッツさん。
「シュラが造った武器はあるか?」
「自分が造った武器はこれです」
シュラは収納の中から自作の長剣を一本取り出してウォッツさんに渡した。
収納から長剣を取り出したウォッツさんは目を見開いて驚く。
やっぱり珍しいアビリティなんだよな。
「収納のアビリティまで習得しているのか。これはたまげたな。もしかしたらだが・・・・・・ラガスとメリルも習得していたりするのか?」
「なんでそんな事までわかるんですか」
ウォッツさんとしては本当にもしかしたらという予想だったらしいが、当てられた俺は素直に答えてしまった。
先程よりも驚いた顔に、というか後ろにひっくり返りそうになるほど心底驚いていた。
そこで俺はルーフェイスの事も一緒に事情を説明した。
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