派手に散る・・・・・・・では無く吹っ飛ぶ

「そのでっかいお腹、斬り裂く」


スピードのギアを一段上げてオークの意識をすり抜けて腹へ一閃。

オークの腹は浅いが確かに斬れて血が流れている。


どこで手に入れたのか知らないが、オークも木の棍棒で対応しようとしているが今のところ一歩足りないな。

それだけセルシアの脚が速くオークの動きが遅いって事だな。


ただ、まだお互いに身体強化のスキルを使っていない。

セルシアは調べていないがオークは狼竜眼で調べた結果、身体強化のアビリティを習得していた。

レベルは三。体術も同じくレベル三まで達しているからもしかしたら闘気を扱える可能性はあるな


キリアさんは接近戦を試みながらも本命は短剣での投擲なのか、完全に踏み込む事は無い。

バーズは真正面からオークを相手にするつもりみたいだが・・・・・・・身体強化のアビリティを使ってギリ、オークの素の身体能力と張り合えるって感じか。


振り回された棍棒を弾いて逸らしているが、完全に流しきれていない。

だがバーズが真正面から戦っている事でオークに隙が生まれる。

そこを突いてセルシアとキリアさんが攻め続けているが、少し分が悪いと感じたのかオークは身体強化のアビリティを使い始めた。


それによって攻撃があまり通らなくなる。

そっちが使うならこっちもと言わんばかりにセルシアとキリアさんも身体強化を使うが、オークの方がレベルが高いのか、それとも身体強化の効力がやや防御力に寄っているのか。

多分それらが理由で傷はつける事が出来ても大した痛手になっていない。


つか、そろそろバーズの腕がヤバい気がする。

まだ技量が足りず、オークの力が上がった事で攻撃を半分は流せていない。

もうちょい体格ががっつりした感じならもう少し耐えられるかもしれないが、そろそろ限界かもしれないな。


あっ、思いっきり吹っ飛ばされた。

レアースさんがキャッチしたから大丈夫・・・・・・・って訳では無いよな。


直ぐにポーションを飲まされているから大丈夫か。

でも直ぐに戦線復帰ってのは難しいかもな。


骨にひびが入ったのか骨折したのかは知らないけど、それらが治っただけで体力が回復した訳では無い。

無理にもう一度戦おうとしているが、流石に無理だろ。


「シュラ、タンクとして参戦しろ。役割はタンクだからな。うっかり殺してしまうなよ」


「了解っす」


横からバーズがギャーギャー吠えるが無視。

あんだけ派手に吹っ飛ばされたのにもかかわらず、食らった傷が直ぐに治す程のポーションを使うのは勿体無いだろ。

レアースさんも流石にちょっと怒ったのか、バーズの頭に拳骨をいれた。

普通に痛そうだ。


というか、普通に踏ん張れていたバーズが呆気なく吹っ飛ばされるって事はもしかして怪力のアビリティを使用したのか。

それなら納得の威力だ。


棍棒がそれて地面にぶつかれば小さなクレーターが出来ている、

シュラはあれをガードしてもさほどダメージは無さそうだが、セルシアとキリアさんの二人が喰らった大ダメージだろう。


シュラがバーズの代わりとなってオークの注意を引き付けてセルシアとキリアさんの盾になる。

本当なら攻撃を躱せるほどシュラの反射速度は速いと思うんだが・・・・・・・もしかしてワザと攻撃を受け流そうとしているのか。

そういえば最近そういった事が出来る様になりたいと言っていたな。


まだ完全に受け流せている訳では無いが、それでもバーズより上手いな。

日頃行っている訓練の差なのか。それともバーズもそういった訓練を受けているが向かって来る得物の大きさが違い過ぎるのか・・・・・・・何となくだが前者な気がする。


いつの間にか一段階ギアを上げ続けているセルシアを、オークはあんまり追えていない様だな。

オークがシュラからセルシアにターゲットを変えようとすればそのタイミングでキリアさんが短剣での投擲・・・・・・・は既に尽きたみたいでそこら辺に落ちている石に魔力を纏わせて投擲している。


身体強化のアビリティを使っているオークの体に当たってもそこまでダメージがある投擲では無さそうだが、狙い所が顔となれば話は別だ。


そして長剣に雷を纏わせて勝負に出たセルシアは数瞬だけもう一段階ギアを上げ、オークの腹を大きく斬り裂いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る