魔法の素質は

「と、とても広いですね」


「ああ・・・・・・いや、ちょっとびっくりし過ぎて言葉が出ない」


本当に広い。何平方メートルだ? 内の家が・・・・・・いや、もう全く分からん。

ただこれだけ広ければ周りの安全も考慮してのびのびとトレーニング出来るな。


「言っとくがラガス。王都のハンターギルドの訓練場はもっと広いからな。というか、設備も他のハンターギルドと比べて遥かに高い。まぁ、ここのハンターギルドの設備も中々だけどな」


「そう言ってもらえるとこちらとしても嬉しい限りです」


剣や槍、ハンマーや武器を使った訓練に盾を使った防御の訓練。それにあそこは弓や魔法を使った訓練場所か?

先輩冒険者か教官? に訓練をつけてもらっている奴もいれば、仲間同士で摸擬戦をしている奴らもいるな。


案外しっかりとアドバイスとかしてるんだな。

もっとこう・・・・・・根性論的なアドバイスとかしてるのかとちょっと思ってた。


「どうだ坊主。結構しっかりとした指導をしてるだろ?」


「そうですね。正直なところ、もう少し大雑把な指導なのかと予想していました」


「普通はそう思うだろうな。ただ教官の立場で指導を行っている元冒険者達は指導を受けた奴から評価によって給料が変わってくる。だから教える方も少しでも後輩たちの役に立つ事を教えようと必死なんだよ。自分より冒険者歴が短い後輩に教えている奴らも、教わった奴らの感じた事によって自分が周囲から見られる目も変わる」


結構世間体の事を考えているみたいだな。元荒くれ者の人にとっては面倒に感じそうだ。


「でも、新人達がふざけて悪評を漏らそうとしたりする事は無いんですか?」


「勿論過去にそう言った例もある。だがそんな馬鹿な事をした奴らは直ぐに街に居ずらくなる。それと、周りにいる同業者、ギルド職員がそれを許さない。それと、ギルド職員も罰則を恐れてハンターから賄賂を貰おうとはしない。まぁ・・・・・・偶にふざけたバカはいるんだけどな」


あぁ、いるにはいるんだ。

実際に自分が体験しなければ現実が見えないって奴か。

他の奴らの不正がばれても、自分はばれるようなヘマはしないって思ってるんだろうな。


「こんな時間に訓練場にいるなんて珍しいですねノウガストさん。何か用でもあるんですか?」


「少しギルドを案内してるんだよ。おっと、ちなみにこちらの人は俺と同じくシルバーランクのハンターで、男爵の爵位を持つ貴族様だ」


「だ、男爵家の当主ですか」


「おう、それにこっちの坊主はその男爵家に子息の方だ間違っても無礼を働くなよ。んで後ろに付いている嬢ちゃんも坊主の専属メイドだ。将来美人になりそうだからって手を出そうとするなよ」


いや、確かに将来美人になりそうだとは思うが、いくら何でも一回りぐらい年齢が違うメリルに手を出そうとはしない・・・・・・よな?

ハンターって別にロリコン集団って訳じゃないよな?


「も、勿論です!! てか、流石に十五より下の女には興奮しませんよ」


十五より上だったら興奮してしまうんだ。まぁ、前世で十五と言えばJKの始まりの歳でもあるからしょうがないのか?


「でも、ここに見学に来てるって事はそちらの坊ちゃんは将来ハンターになるって事ですか?」


「おう、貴族の学校を卒業すればメイドの嬢ちゃんと一緒にハンターになるらしいぞ」


「へぇーーー。ってあれ? ハンターの事について学ぶ学校じゃなく、貴族の為の学校に行くんですか?」


「普通はそういう反応になるよな。でも色々と考えた結果での判断らしいぞ」


色々って程考えた訳では無いが、幾つか理由があったからな。

にしても・・・・・・当たり前かもしれないけど、錬度で言えば内に兵士達の方が高いか。


「ラガス坊ちゃま、誰かめぼしい方はいますか?」


「・・・・・・・・・・・・いや、特にこれといった奴はいない。単純に持っているアビリティが分らないからそう思うだけかもしれないが、単純な動きだけ見ればそこまで大した事は無い」


「ず、随分と言い切ってしまいますね坊ちゃん。やっぱり同年代の子供の方が才能が溢れて見えるもんなんすか?」


「・・・・・・魔法を扱う点だけで言えば貴族の方に分があると思います。ただ、それだけが全てでは無いと自分は考えています。しかしそれでも我前で訓練をしているハンター達と比べれば貴族の子息息女の方が素質的に高いかと」


それだけでは無いんだけどな。

何と言うか・・・・・・訓練を手を抜いている訳では無く、しっかりと受けていると思う。

けど、まだあまり戦っている最中に頭を働かせていないって感じがする。


って・・・・・・ちょっと声が大きかったかな?

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