それは貴族令嬢と呼べるのか?

「父さんが言う通り、自分とロウレット家のお嬢さんの魔力の波長が合い、最適なパートナーだと結果が出た場合にその侯爵家の子息が絶対に自分に決闘を申し込んでくる筈です。侯爵家の子息としてのプライド、本気でロウレット家のお嬢さんに惚れているが故の嫉妬心、理由はもろもろとあります」


寧ろ今まで代々受け継いできたルールだから従えと言われても十歳の子供には納得できない理由だ。

無いとは信じたいが、そうなってしまえば目立つの必然だな・・・・・・決闘に負けれたらそれはそれで厄介事が降ってきそうだし、かといって勝ってしまったら更に目立ってしまう。


肝はどれだけ力を晒さずに決闘に勝てるかだな。


「ただ、仮に僕はそのロウレット家のお嬢さんと魔力の波長が合い、婚約者の男の子との決闘に勝利してもハンターになるという考えは変わりませんよ。それでも大丈夫でしょうか?」


「基本的には良くないんだろうが、五女ともなればある程度自由に行動が出来る筈だ。それに聞いた話でだが、ロウレット家の五女はなぁ・・・・・・結構天然というか、取りあえず普通の貴族令嬢では無いらしい」


天然で普通では無いねぇ・・・・・・もしかしたら公爵家のお嬢さんの方は侯爵家の子息のはあまり興味を持っていないのか?


「ラガスと似ているところが多いかな。同じ貴族の令嬢達とお茶をするより剣術や魔法の訓練をする事が好きらしい。後は高ランクの冒険者から過去の冒険譚を聞くとかな」


「・・・・・・それはもはや貴族令嬢と呼べない気がするのですが」


「そう思ってしまうのも無理はないな。ただ、実力は確かなものらしいよ。知り合いに武闘派の伯爵がいるんだが、その人が忌憚では無い評価をしていたんだ


元ハンターの父さんが武闘派って言うくらいだからちゃんとした常識人なんだろうな。

それなら公爵家のお嬢さんが天然だけど強いってのは信じられるか。


「なるほど・・・・・・自分と戦えばどちらが勝ちますか?」


「それは当然ラガスだろ。いくら才能があるとはいっても、まだ戦闘訓練は摸擬戦しかしておらず、モンスターとの命のやり取りはまだらしい」


モンスターとの戦闘経験はまだ無いのか。それなら核の方も俺の方が上って事か。

それなら剣術魔力云々の前に単純な戦闘力の段階で俺の勝ちだな。


「まぁ、そう言う訳だから案外お前の行きたい道に付いて来てくれるんじゃないのか?」


「それはそれで責任重大な気がするのですが。いくら五女とは言っても公爵家の令嬢という事には変わりない訳ですし」


「確かに、そういった面での面倒事はやって来るかもしれないな。ただお付きの侍女もかなり優秀だって話だ。そのあたりはサポートしてくれるだろう」


主と侍女が揃って優秀かぁ。そういえばメリルって侍女として、メイドとしては優秀な分類に入るのか?

私的には優秀な方だとは思うんだが、家以外のメイドって見た事が無いからな。

まっ、取りあえず戦いに関しては優秀な部類に入ると思うんだがな。


「どうしたんだラガス、急に黙って。何か面倒事の良い打開策でも思い付いたのか?」


「いえ、それはまだ思い付いてはいません。ただメリルが侍女、メイドとして優秀な部類に入るのかを考えていました」


「・・・・・・俺もそこまで多くの侍女、メイド達を見て来た訳じゃないから断言は出来ない。ただ爵位が上の方の貴族に仕える侍女や執事達は一般的な業務は勿論、仕える主を守るための戦闘も行える者も多いと聞く。実際に俺がハンター時代に護衛した貴族のメイドは俺達護衛は要らないんじゃないかと思える程の強さを持っていた」


父さんや母さん並みの実力を持ったハンターの護衛が要らないって・・・・・・その執事バケモノだな。

その貴族もなんで護衛を雇ったのか疑問に感じなくはないが・・・・・・多分、モンスターや盗賊達に対するポーズといったところか。


「そんな執事やメイド達と比べると、将来的にはメリルも同じような感じになると俺は思うぞ」


・・・・・・そういう感じに仕向けているのは俺かもしれないが、それはそれでメリルの将来を考えると少し不安だ。

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