仕事が終わったら

朝食を食べ終えた後、屋敷の掃除に服の洗濯。

旦那様は自身は男爵家なのでそれ程屋敷は大きくないとおっしゃられますが、正直大変な事には変わりないと思います。


そこまで侍女やメイド、執事の数が多い訳では無いので掃除が終わるまでに二時間程掛かります。

私はラガス坊ちゃまのメイドなので、ラガス坊ちゃまのお部屋も掃除しますが、基本的部屋が散らかっていない。というより手に取った物をちゃんと元の場所に戻してあるため、整理整頓をする事は殆ど無い。

掃き掃除と拭き掃除だけすればお掃除は完了です。


その後は昼食を取り、午後は自由時間になります。


「はぁ~~~、ようやく自由時間だな。とは言ってもあんまりする事は無いんだけどね」


「なら一緒に遊んでよミーシャさん」


「レアード様とセリス様と一緒に遊ぼう、ミーシャさん」


ニルナとエルシャはミーシャさんを遊びに誘いますが、この子達にはやらなければならない事があった筈です。


「ニルナ、ミーシャ、あなた達はこれからメッシーナさんのお勉強があった筈です。レアード様とセリス様も家庭教師のサーラさんの授業があるんですから邪魔してはいけませんよ」


「「うっ・・・・・・わ、分かりました」」


二人は以前授業をさぼり、レアード様とセリス様を屋敷の庭に連れ出して一緒に遊んでいたのがバレ、メイド長であるメッシーナさんから雷を落とされた事を思い出したのか、体が小刻みに震えています。


旦那様と奥様からラガス坊ちゃま達のご子息の方々も叱る許可を貰っているため、アリク様を盛大に叱りつけた事もありましたね。

アリク様が何か良い訳をしようとした瞬間に一喝、まるで拘束系の魔法を使ったかの様に固まっていましたね。

あれは流石に遠慮無さ過ぎるのではと思いました。


まぁ、他の方々は特に注意される事はあっても、叱られる事は無かった筈です。

ラガス坊ちゃまに関しては注意すらされた事が無かった気がします。


「はっはっは、二人は相変わらず勉強嫌いだね」


「そうですね。ただ、勉強嫌いでもしっかりと取り組む意識があるのは良い点だと思います。あの二人は頭が悪いという訳ではありませんからね」


「確かに偶に話を聞く限りそうみたいね。でもメリルはメッシーナさんの勉強を終える期間は随分と短かったわよね」


メッシーナさんの授業期間を終えたのは確か半年ぐらいでしたか。

あの時はメッシーナさんに呑み込みが早いと褒められたのは嬉しかったですね。


「まだ小さかったラガス坊ちゃまが一生懸命にサーラさんの授業を聞いていましたからね。侍女である私がのんびりしている訳にはいかないと」


「あぁ~~~・・・・・・その気持ちは解らなくわないね。自分が仕える人が一生懸命頑張っているのにあまりちんたらと学んでいるのも気分が悪くなるというか、取りあえず隣に並んだ時にしっかりと支えられるようにならなきゃって思う時は何回かあったかな」


・・・・・・ミーシャさんは普段、気の良いお姉さんという感じですがやる時はしっかりとやりますからね。

というか、要領に関しては私より断然良いですからね。


「ミーシャさんもメッシーナさんの授業を特に苦手とすることなく、マイペースに終わらせたと聞きましたよ」


「そりゃあ、私はニルナやエルシャのみたいに勉強する事が嫌いじゃないしね。それに武器の扱い方や魔法の練習だって、主であるクレア様が学校を卒業したらハンターになるんだから覚えておいて損は無いし」


「それには同感です。というより、旦那様のご子息たちは最終的にどんな職業に就くにしても、まずはハンターになる運命なのかもしれませんね。レアード様とセリス様もラガス坊ちゃまに触発されて最近はよく将来はハンターになると宣言していますし」


私なんかに止める資格は無いのですが、やっぱり心配にはなりますね。

侍女の二人があんな調子ですからね・・・・・・まぁ、しっかりとするべき時はちゃんとやってくれる筈です。


「女の子が二人でハンターになる、普通に考えてヤバいと思わない?」


「まぁ・・・・・・取りあえずヤバいとは思います。襲ってくれと言ってるようなものですからね。ただ、クレア様とミーシャさんなら後数年、学校を卒業するまでには一般的なルーキーとはかけ離れた力を習得している、とラガス坊ちゃまが自信満々に言っていました」


「は、ははは。そうか、ラガス坊ちゃまがね・・・・・・・・・・・・それは自信が出るね。というか、ラガス坊ちゃま自分は基本属性の魔法が使えないのにアドバイスは上手いわよね。ラガス坊ちゃまのアドバイスを聞いて初級魔法にあたるストーンブレットを放ったらアホみたいな威力になったし」


「なんと言いますか、自分が出来ない事を私やクレア様やロウド様にミーシャさんを使って実験しているのではないでしょうか?」


本人はもし基本属性を持つ相手と戦う時の情報が欲しいと言っていが、それは嘘でないにしても実験台になっている私達を見る時の目の様子からして絶対にワクワクしながらアドバイスしていると感じます。


そのお陰で私達が強くなれているので文句は無いのですが。


「そうかもしれないね。ただ・・・・・・ラガス坊ちゃまの強さって規格外過ぎない? この前私達とクレア様も入れて三対一で摸擬戦をしたけど、碌に攻撃を与えられずに負けたじゃない。メイドの身としてはそれ良いのかもしれないけれど」


「習得しているアビリティの錬度・・・・・・特に魔弾と音魔法、身体強化に関しては一つの武器として成立しています。ですが、一番は徒手空拳での戦い方が自身の強さを晒さずに戦う上では一番厄介かと」


「分かるわ~~~~、戦い方が統一されているかと思えば不規則な攻撃も放つし、読みずらいったらありゃしないね」


型に嵌らない攻撃方法は確か獣魔法を意識していると言ってしましたね。

確かにあれは獣の様な動きと言えます。

いきなり戦法を変えられるとまず対処が遅れてしまいます。というか、今の私では絶対に一撃貰ってしまいますね。


「そういった戦い方も惜しむ事無く私達に教えていただけますが、全て避けられてしまうので結局はこちらが攻撃を貰ってしまうのですが」


「戦い方を教えてくれるのがラガス坊ちゃまなんだから、戦い方の弱点もラガス坊ちゃまはしっかりと解っているじゃない?」


「・・・・・・言われてみればそうですね。っと、ここでずっと話しているのもあれなので私は庭に出て訓練をしますが、ミーシャさんはどうしますか?」


「そうねぇ・・・・・・よし、私も訓練に付き合うよ。やれる事はたくさんあるからね」


一人より二人での方がやれる事が多いので良かったです。

まずは何から始めましょうか・・・・・・・・・・・・。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る