飯は美味しかった

「どうだラガス、気になる子はいたか?」


「それは私も気になるわ。ラガスのお眼鏡に適う女の子はいたの?」


「気になる女の子って言われても・・・・・・料理を食べるか、話しかけて来た同じ男爵家の子と話していただけなんで、特に同年代で気になる人はいませんでしたね」


おそらく美男、美女同士が結婚する影響で貴族の子の容姿はレベルが高い。

だからといって俺はロリコンでは無いから気になる子ってのは特にいなかったな。

どちらかと言えば、スタイルの良い貴族の若奥様を目で追いかけていた。あれは十分に目の保養になった。


あぁ、でも一人だけいたな。気になるって訳じゃ無いけど、目が合った女の子はいた。


「一人だけ気になると言う訳では無いんですけど、目が合った女の子はいました。なんというか・・・・・・本当に一瞬じゃなくて数秒程目が合っていたんで、周りの時間が止まっている様に錯覚しました」


「ラガス・・・・・・それってまさか運命の相手って人なの!?」


いやいやいや、そんな訳無いから少し落ち着いてくれクレア姉さん。女の子だから色恋沙汰の話が好きなのはわかるけど顔が近い。


「落ち着けクレア、ラガスが困っているだろう。でも俺も少しそのラガスと目が合った女の子は気になるな。ラガスはその子と話してみたいとかは思わなかったのか?」


「そう言われても・・・・・・正直自分と話が合うかどうか分からない、というより絶対に合わないと思います」


「その子はこう・・・・・・雰囲気から剣術とかを嗜んでいる感じなかったの?」


雰囲気なぁ・・・・・・何というか、本当に少し目が合っただから大した事は分からなかったけど、何となく物静かって雰囲気はしたな。


「あまり口数多くないタイプだった思います。剣術や魔法等の戦闘系のアビリティに力を入れているのかはいまいち分からなかったですね」


「そうか。まぁ、一目合っただけならそこまでの事は分からないか」


「・・・・・・父さんは俺に早く嫁さんを見つけて欲しいんですか?」


この世界の貴族の間では若い年齢で結婚するのが当たり前みたいだけど、元日本人の俺にとってはあんまり早く結婚するのは良いイメージがないんだよな。


「父親としてはそう思う部分も無くは無いな。特にクレアやクローナには早く婚約者を見つけて結婚して欲しいんだが・・・・・・」


ほんの少しだけ期待を込めた目で父さんはクレア姉さんを見るが、直ぐに首を横に振って拒否した。

まっ、そうだろうとは思ってたけどな。


「お父様には悪いけど、私は学校に入っても婚約者を見つける気は無いわ。ロウド兄様やラガスぐらい強くないと男として見ないわ。多分クローナ姉様も同じ考えよ」


「それは・・・・・・流石にそんな相手はそういないと思うんだが・・・・・・ラガスからも何とか言ってくれないか?」


「俺が行ってもクレア姉さんとクローナ姉さんの考えが変わるとは思えません」


クローナ姉さんも見た目淑女だけど、熱いところは熱いからな。


「・・・・・・それもそうかもしれないな。ただ、兄弟全員ハンターになろうとしなくても良いと俺は思うんだけどな」


それはまぁ、何と言いますか・・・・・・やっぱり血筋的なものか?

一番上のカロウスお兄さん、クローナ姉さん、クレア姉さん、ロウド兄さん、アリク、そして俺。一応全員目標はハンターだからな。


「みんな父さんと母さんの影響を受けた結果なんじゃないんですか? 父さんと母さんの昔話を聞くのは楽しいですから」


「それには一理あるわ。お父様とお母様のハンター自体の話は聞いていて飽きませんから」


クレア姉さんの言う通りだ。カロウス兄さんはいずれ父さんの後を継ぐために戻ってくるだろうけど、他の兄さん姉さんはハンター人生を存分に楽しむだろうな。

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