危険を犯さず
「二人共あっさりと倒しましたね。戦闘時間は五秒もかかっていないんじゃないですか?」
「そうかもしれないね。ただ、ランク一の中でもかなり下のモンスターだから、そう時間の掛かる相手じゃないよ」
「ロウド様の言う通りですね。ラガス坊ちゃまは五秒どころか三秒程で倒されましたが」
・・・・・・うん。お前がそれを言うと嫌味にしか聞こえないと、遠回しに言われた気がする。
そこは取りあえず置いておこう。
「さて、取りあえず魔核は取っておこう。肉はどうする?」
「う~~~ん。メリル、今日は収納できる物は持っていないよな」
「はい、今日は必要ないかと思ったので持って来ておりません。今から家に帰って持ってきましょうか?」
いや、流石に今から行って帰っては・・・・・・メリルなら出来そうだな。
でもそれは普通に俺の良心が痛むからやめよう。
「いや、流石にそこまでしなくて良いよ。魔核だけ取っておこう」
俺は自身が倒したホーンラビットの場所へ向うと、そこには頭から血を逃して倒れ伏しているホーンラビットの死体があった。
狙った訳じゃないんだが、上手い事急所に命中したんだな。
腰に携帯している短剣を取り出してモンスターの第二の心臓と言われる魔核を取り出す。
ハンターの収入源の一部であり、使用用途が多い魔核はモンスターの素材の中で一番買い取り価格が高いらしい。
モンスターの解体の仕方は父さんや母さんの暇な時間に教えて貰い、最初の頃は苦手・・・・・・というか血の生臭さや内臓のグロさに数回は吐いたな。
今は慣れたけど・・・・・・あれはきつかった。
「・・・・・・よし、終了。そっちは終わった?」
「ええ、終わりましたよ。それとラガス坊ちゃま、角は持っていてもよろしいでしょうか?」
「ん? ・・・・・・あぁ、そういうことか。勿論良いぞ」
投擲のアビリティを持っているメリルには持っておいて損は無いからな。
俺も投擲にアビリティ持ってるから一応持っておくか。
「よっと。さて、手を洗わないとな。ロウド兄さんとメリルもこれ使って手を拭いてくれ」
自分の目の前の一つと、ロウド兄さんとメリルの前に水弾を飛ばす。
そして水弾の中に手を入れて血をしっかりと洗い落とす。じゃないと中々匂いが取れなくなるからな。
「嬉しい事には嬉しいんだが、こういうところも非常識だよね。いや、これはラガスとがと言うよりは、ラガスの持っているアビリティが非常識と言えば良いのかな?」
「俺はその方が正しいと思いますよ。俺は単にそれを使いこなそうと努力してるだけで、結果的に非常識なものになっているんで」
「使い方・・・・・・考え様によってはかなり応用が効きますからね、ラガス坊ちゃまのアビリティは」
「それは・・・・・・確かにそうかもしれないな」
魔弾のアビリティは文字通り魔力を弾丸にして飛ばす。
ただ、使い方によって相手にぶつける、貫くだけで終わらないからな。
「ラガス、正直ランク一のモンスターじゃ物足りない、そう思ってるよね」
「・・・・・・まぁ、最近はそう思う事もありますね。ただ、ランク一つの中でもピンからキリまで幅が広いから、あまり油断は出来ないと思わなくもないです」
ランク一の中にゴブリンっていう緑色の人型モンスターがいるけど、その上位種にあたるホブゴブリンもランク一。
でも強さは比べるまでもなくホブゴブリンの方が強かった・・・・・・筈。
数回ほど遭遇したけど、全部魔弾で仕留めたから正確な強さは分からなかったからな。
「ラガスは・・・・・・あれだね。油断して痛い目に合うという機会は無さそうだね」
「無茶はしても、油断しない所がラガス坊ちゃまの利点ですからね」
「なぁ、毎度思うんだが俺はそんな無茶ばかりしているか?」
アリクやロウド兄さん。クレア姉さんやクローナ姉さんだって俺の記憶が正しければ一人でかどうか覚えてないけど、森の中へ入ってモンスターを倒している。
一番上のカロウス兄さんも俺らと同様に森の中へ入ってモンスターを倒していたらしいし・・・・・・俺だけおかしなこと事をしてる訳じゃないと思うんだが。
「普通は五歳の子供がモンスターをソロで倒す事が無茶なんですよ」
「いや、まぁ・・・・・・確かにそうかもしれないけど。でもそれだったら俺達兄弟姉妹は全員無茶してるよな、ロウド兄さん」
話を振られた兄さんは苦笑いしながらも、俺の言葉を肯定する。
「確かにそこは否定出来ないね。爵位の高い貴族の子供だと、僕たちの年齢でモンスターを倒す子も少しだけいるみたいだけど、護衛もしっかりいて装備している武器もかなり金が掛かっている物を使ってるみたいだよ」
「つまりアビリティだけでランク一とは言え、モンスターを無傷で倒してしまうラガス坊ちゃまは中々に常識外れな方という訳です」
ちょい待てメリル。そのセリフはもう俺を貶しているよな?
遠慮なくズバッと放つメリル言葉に俺は少なくないダメージを受けた。
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