可能性

うーーーん、何か可能性は無いのか・・・・・・そういえば前世にあった特待生制度的な物があるって二人が言っていたな。


確か、入試の成績優秀者は学費を免除、もしくは何割かは払わらなくても良い的な事を言っていた筈だ。


「学費に関してなんだけどさ、入試の時に成績が優秀だった人は学費が免除、もしくは何割かは払わなくても良いって制度があるらしいぞ」


「それは本当かラガス!!!」


「お、おおう。父さんと母さんが言っていたから本当だと思うぞ。後顔が近いから離れてくれ」


「あ、悪い悪い。つい興奮しちまって」


一度消えかけた光がまた差し込んで来たんだから、興奮せずにはいられないか。

レイアとミリアもザックスにつられてテンションが上がっているみたいだな。


「まぁ・・・・・・その為には色々学んで訓練もしなきゃいけない「うおおおぉぉしゃあああああああ!!!! 早速家に帰って素振りだ!!!!! また今度会おうぜラガス!! それじゃあな!!!!」って・・・・・・行っちまったよ」


まだ話に続きがあったんだが・・・・・・あれだけテンションが上がったザックスにこれ以上落ち着いて話を聞けってのも、無理な話か。


「えっと、まだ話に続きがあるのかな?」


「ああ。三人が独学で学んだとしても特待生・・・・・・学費免除になる可能性は難しそうだからな。属性魔法の適性があれば魔法は比較的暇な母さんに。武器の方は・・・・・・父さんは領主の仕事でそこそこ忙しいからな。兵士さんにでも頼もうかと思ってるんだ」


三人の事をそこまで知らない俺が才能が無いとは言えない。

ただ、他の同年代の子供たちと比べてぶっちぎりな才能があるかと言えば、そうではないと思う。


「だから、後で先に帰ったザックスにも伝えといてくれ」


「分かったわ!!! ふふ、もしかしたら魔法が使えるかもしれないのね」


「楽しみだね、レイアちゃん!!」


喜んでくれている様でなによりだな。

取りあえず今日のところは帰って父さんと母さんにこの話をしないとな。




「・・・・・・って訳なんだけど、駄目かな?」


「いや、普段我儘を言わないお前からの頼みだ。俺が直々に指導というのは難しいかもしれないが、普段の訓練は俺の方から兵士に伝えておこう」


「私も全然構わないわ。それにしても・・・・・・お願いが自分の為にじゃなく、友達の為になんて本当にラガスは優しい子ね」


二人共三人に訓練・・・・・・いや、稽古をつけることに了承してくれたのでホッと一安心した。

希望の光を見せた手前、自分の口から希望を閉ざすのを伝えるのはちょっとな・・・・・・。


というか、その豊満な胸で窒息死しそうなんでそろそろ離してください。


「ラガスはその三人と一緒に訓練するのか?」


「・・・・・・いえ、俺は俺で訓練するんで遠慮しておきます」


持っているアビリティを考えれば、俺の戦い方は三人とは違う物になるだろうからな。


「そうか・・・・・・そう言えばお前は剣の訓練もしているんだったな。武器は剣がメインか?」


「一応候補の中に入れています。ただ、体術の方も並行して進めているのでナックルも良いかなと考えています」


父さん自身が剣を使っているから、俺が剣の訓練をしている事が嬉しいみたいだな。

表情が普段を比べて緩くなっている。


それに比べて母さんはどこか残念そうな顔をしている。


「・・・・・・母さん。俺は母さんから魔法のアビリティについてたくさん教えて貰っているからそれだけで十分だよ」


「そう言ってくれると嬉しいわ。でもラガスが習得したアビリティに関してもう少し手伝えることがあればよかったのだけれど・・・・・・」


母さんは魔法使いとしてかなりの腕前を持っていると思う。

先天的に火魔法と水魔法を、後天的に土魔法と氷魔法を習得している。


それに基本的には後衛で戦うスタイルだが、接近戦が出来ないという訳でもない。

長所を伸ばし、短所をほったらかしにしない。そういったところはとても尊敬している。


だから母さんに頼んで多くの魔法を見せて貰った。


「俺が習得した魔法は自分で調べていくしかないよ。ただ、母さんが教えてくれた魔法は決して無駄にはならない。敵と戦う時にどんな魔法があるのか、どういった詠唱なのか、体から溢れる魔力はどの属性を表すのか。そういった事が分かる時点で戦況は大きく変わるから」


俺は言い終わってから、俺の言葉を聞いていた父さんと母さんの驚いた表情が、自分のどの言葉の部分に対して驚いたのか気になった。


「・・・・・・ふっふっふ、そうかそうか。そういうことか。リアラ、私達の息子は本当に凄いな」


「ええ、これほどまで才に溢れているのにもかかわらず、努力を怠らない自慢の息子です」


・・・・・・褒められるのは嬉しいけど、目の前で褒められるのはちょっと恥ずかしいんだが。

しかし、二人は結局俺の言葉のどの部分で驚いたんだろうな・・・・・・まぁ、このまま訓練を続けて行けばいずれ分かる話か。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る