それでいいのか?
「それと、音魔法とは別に三つの魔法の適性・・・・・・というよりは水晶に手を触れた瞬間に体に流れ込むと言うか、現れるというか・・・・・・言葉にしにくいですね」
「取りあえず三つの魔法を手に入れた、そういう事で良いんだな」
「はい。手に入れただけで使いこなせている訳じゃないですけど」
そもそも試してもいないからどういった魔法を使えるのかも分からない。
まぁ、強力な魔法に変わりはないと思うけど。
「そうか・・・・・・それは父親である私に言えない魔法か」
「いえ、そういった禁忌に触れるような類の魔法ではありません」
「・・・・・・そうか。ならば良かった」
胸を撫で下ろし、父さんはホッと一安心する。
もしかして死霊魔法の適性があるとでも思ったのか?
まぁ、禁忌といえば生死を司る魔法が殆どだからな。もしそうだったら・・・・・・俺は家から追放される可能性は十分にあるか。
「簡単に言えば獣、鬼、竜を司る魔法・・・・・・ってところだと思います」
「それは何と言ったらいいのか・・・・・・極めればお前に敵はいなさそうだな」
笑いながらも真剣な表情は消えていない。父さんは本気でそう思っている。
極めれば、か・・・・・・今から頑張っても結構な年月がかかりそうだけどな。
「そうかもしれませんね。ただ、俺はこの三つの魔法を基本的には使わないつもりです。音魔法もあまり公衆面では使いたくないと思っています」
「・・・・・・それは言っても誰も信じようとしないからか」
「はい、父さんも実際は半信半疑ですよね」
自身の考えが息子にバレていたと分かった父さんは真剣な表情を崩して苦笑いになる。
「まぁ、少しな。高位のドラゴンが竜魔法というアビリティを持っているのは知っているが獣魔法、鬼魔法の二つは聞いたことが無いからな。っと、それは置いといてラガス。もしかしてお前は属性魔法のアビリティを持たないという体で学校に行くつもりか」
声のトーンが一段階低くなる。俺に対して怒っているのではなく、心配している様な声。
貴族は基本的に何かしらの属性魔法のアビリティを持っている。
なので属性魔法のアビリティを持っていないという事は、貴族内で迫害・・・・・・優しく言えば虐められる可能性が大きくある。
「はい、四つの魔法を・・・・・・特に三つの獣、鬼、竜の魔法を使えると知られれば面倒事に、もしくは嫉妬や妬みに駆られて俺や家に何か仕掛けるバカが現れるかもしれません。それと・・・・・・学校であまり目立ちたくないというのが理由です」
「・・・・・・最後の理由はともかく、確かにお前の言う事は起こらないと断言出来ない内容だ。ただ、属性魔法を持たないとなれば、学園で生活しにくくなるのも確かだぞ」
過去を思い返す様な表情で父さんは力強く俺に告げる。
俺としてはまず学校に行かないという選択肢は無いのかと言いたいな。なるだけ早くハンターになりたいんだが・・・・・・流石にそれは父さんだけじゃなく、母さんや兄さん姉さんまで反対しそうだな。
「大丈夫ですよ。体が大きくなれば剣を学びます。それに父さんたちには見せてないけど、今の時点でしっかりと自分の武器は持っています」
「・・・・・・ふぅーーーー。全く、お前は本当に先を見ているんだな。その魔法・・・・・・いや、アビリティは私に言える物か?」
「・・・・・・そうですね。音魔法や後の三つも伝えたので構いません」
魔弾の事について父さんに話すと、やはりそんなアビリティは見た事も聞いたことも無いらしく、笑いながら驚いていた。
その後は他愛もない会話をして自分の部屋に戻る。
そして自室に入った俺はベットへ飛び乗って自身の魔法について考え込む。
「獣、鬼、竜か・・・・・・」
獣は身体能力の向上、鬼は・・・・・・獣と同じか? 竜はドラゴンが使うような魔法を使えるか属性付きのブレスが使えるようになるってところかな。
実際に使っていかないとどんな魔法があるのか分からないから、本当に少しずつでも使っていかないとな。
ただ、学校では使う事が無い状況を祈るばかりだけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます