街の灯り
「で、
「…… なんのこっちゃ」
王都への帰りに一晩泊まる街の飲み屋でジジイに向かい合う。
安酒場なので個室とはいかんが、2人席がある奥隅に陣取り水で薄めたと思われるエールを空腹の胃に流し込む。
王都へ向かう街道にあるので、客数はまぁまぁ…… というのもフー◯ーズというのは分かるだろうか?
アレのように音楽をジャカジャカ演奏し乳やら尻やらを半分ほど放り出したセクシーな女店員(ウエイトレス)が酒や食事を運んでくれるというものだ。
男とはバカなもので、
しかし今は騒がしく、他の客は女店員(ウエイトレス)しか見ないという環境は今の会話に丁度よろしい。
「バカにするなよ、ジジイ…… 竜の血が沢山(たくさん)必要とされる場合なんて、まぁ——— なかなか無いだろうに? 」
なんせ、竜の血を塗りたくり乾かすと人間の皮膚でも竜に近い防御力と抗魔法力が手に出来る。
普通に使うには過剰戦力すぎる。
「まずは、数だ。誰かの警護やら魔物の討伐なら
「うむぅ…… 」
ジジイは深く唸り声出してプイと横を向いてウェイトレスの尻を眺める
指で机をトントンとしているのぅ。
声は聞いとる感じだな?
「次は、赤子竜の血を捨ててまでも、より威力が強いと思われる親赤竜の血を集めた…… 依頼クエストの消化という範疇(はんちゅう)ではない量だ」
「ふん、ギルドマスターとして質を求めるのは当然じゃろに…… 」
「そんな虚ろな返事があるかい」
「…… なぜ、そんな事を問うた? キッカケはなんじゃ? 」
キッカケを聞き出したっていう事は話す気になったって事か…… いや、聞いてほしいという顔だな
「俺が王都で竜の血の指名依頼を受けた時に「なぜこんな依頼を? 」と俺は聞いた…… ジジイは、何故か最近になり編隊の練度を上げている見回りの兵士をチラリと見て「国の為だ」と言ったじゃねーか? 」
「ワシ、言った? 」
「言った言ったー! 」
クックックと2人で笑いマズイエールを飲み干して、乳のとりわけデカイ店員(ウェイトレス)に追加でエールを頼む。
「あ、ちょい」
ジジイが店員(ウェイトレス)に袖の下を渡し、ちゃんとしたエールをくれと頼む。
しばし、2人でポソポソとした鶏肉を食べながら顔色を伺い合う。
「——— 国の為…… というのは方便じゃ、」
「だろうね」
俺は頬杖ついて薄く笑いジジイの言葉を待つ。
「はぁーい! エール2つおまちどーさまぁー! 」
「はいよ」
「うい」
ブルンブルンと揺れる乳をジジイと目で追っていると目が合う。
妖艶に笑いながら店員(ウェイトレス)が去りしばしの沈黙の後にワッと店内が湧く。
ジジイのチップに気を良くした店員(ウェイトレス)が下着をペロリと捲(めく)り上げ巨乳を晒して一回転した。
店員と軽く手首で手を振りジジイを見ずに呟いてやる。
「国ではなく、仲間が死ぬのが嫌だからって所か? 」
「そうじゃ。 この歳になるとな、、 一般の兵士の親はワシの知り合いじゃ、年老いた騎士はワシの友人じや、子孫(こまご)の名前を決めたヤツもおる…… そいつらが戦争で蹂躙されて殺されると考えただけで…… 夜も眠れん」
「背負うものが多いな…… 少し気を抜いたらどうだ? 」
ジジイは俺の言葉を受けて複雑な顔をした後、寂しい目をしてエールを見る。
「少し…… ワシは仲間達より長生きをし過ぎてもうた…… 寂しいんじゃよワシを長く知る者が少なくなるのは…… いや惜しいと言うべきか…… 」
「だから、竜の血でも何でも使って知り合いも含めて兵士の戦死率を下げたい…… か、人の生き死にを背負うのはたまらんな」
「ああ…… たまらん…… たまらん程にワシは自国の人々が好きなんじゃ…… 」
返答が間違えてるなとジジイを見ると、ジジイは酒に騒ぐ人々を見て目を細めていた。
この国を愛してんだな、ゲルハル。
——————————————————————————……
翌日、酒場の巨乳店員の1人を金で一晩買えるというので、銀貨30枚で買い宿の閨で旅の疲れを巨乳で癒し色々と発散させて目が覚めた。
江戸時代でいう所の引手茶屋のようなものがあるとはありがたい。
コンドームが無いような世界だが堕胎や性病治療を一変に癒してしまう
それを聞いた時に山の集落のエリーを思い出す。
彼女は
彼女を捨てた自分
彼女を殺した松本
それを忘れられるように荒く強く女を抱いて眠った。
なんだ
俺もこの国がいつのまにか好きになってんじゃねぇのか
「よう…… あんま良い顔じゃ…… ないな」
「ああ、ちょっと昔を思い出してな」
ジジイと街を出る前に朝飯を食べる為に顔を合わせる。
「しかし、女を買うとはのぅ」
「俺を何歳だと思ってるんだ? 」
「ああ…… 見た目が美人顔な若造だからたまに忘れてしまうわい。…… 孫と結婚したら遊ぶなよ? 」
「いや、結婚せんて」
ジジイは、赤竜と戦った日から事ある毎(ごと)に孫との結婚を持ち出す。
どうやら、俺の有用性を感じ親族に引き入れてしまおうと考えているようだ。
「そんなに孫とは結婚したくないのか? 」
「…… ジジイと親縁になるのは悪くないが、結婚は考えとらん。こんな世界で結婚してしまえば身動きがとれんくなる」
ワシとの縁はいいの?
みたいな顔をすんなジジイ。顔を赤らめるな気持ち悪い。
「それよりよ、俺もかませてくれんかい? 」
「…… 何をじゃ? 」
「もちろん、ジジイがこれからやる仕事の手伝いさね」
ジジイは食べている途中のパンが喉に詰まり咳き込むみ、真剣にこちらを見る。
俺はそれを茶化さずに頷くとジジイは了解という安心顔をしてから、これから起こるであろう事を話し始めた。
———————その内容は、やはり戦争で相手は隣国であるという。
どの世界もやる事は同じなんだな…… と俺は呆れながらも話しを合わせて行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます