315.アキラ、代わりを作る。

 微弱ながら、感じる酸っぱい匂い・・・。その香りに誘われるかのように、匂いの元へとフラフラフラ・・・。




『パカッ!! 』




と蓋を開ければ、そこには梅漬けくんが良い具合に漬けられていた。




その瞬間、頭に電流走る!!




「この梅漬けの汁を重曹にかければ、梅ジュースができるんじゃないか!! 」




そう考え、早速行動に移す。汁を掬い、重曹にかける!!




酸っぱい匂いが辺りに漂う。酸っぱいのは重々承知だが、レモンを使った炭酸飲料とかあるので方向性としては間違ってないはずだ。




ここまで、長々と話してきたが、要は味が良ければそれでいい!!




恐る恐るコップで泡立つピンク色の液体を味わいながら、テイスティングする。




「宿主、肝心の味はどうですか? 」




精霊さんが喜々として、質問する。




「ううぇ・・・、ただただ酸っぱさと塩っ気が炭酸の風味とミストマッチ・・・。」




ありのまま、今、舌が感じている味を口に現す。だが、もう少し何か足せばおいしそうになりそうなものである。だが、一体何を足せばいいのか皆目見当もつかない。




すると、




「あっ!! 主! 今飲んでるそれはなんですか? なんですか? 飲みたいです!! 」




とミユが興味深々で近寄ってくる。健気なミユはその微妙な味の炭酸を所望する。まぁ、害はないしいいだろうと、飲みかけの奴を渡す。




そして、一口飲む。瞬間、彼女の顔が険しくなり、




「うぇ・・・><。酸っぱさとしゅわしゅわ感それに塩っ気が登場して、あんまりおいしくないです・・・。」




やはり、僕と同じような意見になる。それを見ていた他の子たちも、飲んでみたいと申し出てくる。チャレンジ精神溢れる彼女たちである。




それを回し飲みしていく。




まずは、イリスが一口、




「うわぁ・・・、微妙な味・・・、前みたいな瑞々しさ感がないわね。何より、塩っ気が多すぎるわ!! でも、何か入れればおいしくなる可能性大ね!! 」




ああ、やっぱ、なんか入れたら甘くなりそうだよね・・・。




次は、アルテシア。




「うぅ・・・><。なんですか、これ。酸っぱいししょっぱいですわ。やっぱり、タ ン サ ンにはベリーのような甘い果汁が合いますね。」




ふむふむふむ。




テラさん、出番でっせ。酸っぱいのが苦手なテラは、恐る恐るウメ酢炭酸水に口をつけて、ちょっと飲む。




「>×<。 うぅぅぅ・・・。酸っぱいです!! 」




予想通りの反応である。はいはい、お水、お水とお冷を渡す。




最後は、まゆき。梅漬けが大変気に入っているので、もしかするとと思い、期待の眼差しでその感想を待つ。




「・・・う~~~ん。旦那様、これあんまりおいしくないですわ。やっぱり皆さんの言うように、甘さを付け足すべきだと思います。」




う~~~ん。やっぱ、ベリースパークリングに変わる作品になると思ったウメ酢炭酸水は、皆からの酷評に終わったのであった。

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