314.アキラ、宣告する。

 欲望というのは限りなく際限がない、その言葉はまさに人の性を露わしていると思う。人間、一度味を覚えてしまうと、止めどうなくそれを欲する。




段々と目減りしていくベリーを渾身のパゥゥゥワァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!! で潰している最中だ。




なぜ、そんなことになったかというと、炭酸試飲会の後、炭酸ジュースにゾッコンになる者が現れ始めるようになった。




イリスとアルテシア、ミユであった。




イリス曰く、




「のどがスッキリするから、またタ ン サ ン飲みたいな・・・。」




と事あるごとにボディタッチして、それを要求してくる。




そして、アルテシア曰く、




「アキラ様、またあのシュワシュワが味わいたいので、タ ン サ ン? ジュースを作ってくださいませ。」




そう言って、豊かな胸を押しつけてアピールしてくる。




ミユは、自分でそれを作ろうとするが、うまくできないでいた。




「主、タ ン サ ンジュース、私の力では作れませんでした。」




炭酸中毒者は、そう言って僕に対して、セクシャルハラスメントを仕掛けて、作るよう促してくる。これ以上されると、性欲君のほとばしるリビドーをコントロールできなくなる。




それで、今は仕方なくベリーを絞って、重曹に注ぎ込んでいるという状況である。




1人分の果汁を絞るのに、両手いっぱいのベリーが必要なのだが、それが×4だとかなりの量になっていく。




然らば、収納の魔術に貯蓄していたベリー残留量がおっそろしいほどのスピードで減っていく。これもうやばいんじゃないの・・・。




その不吉な予感通りに事は運ぶ。




「ええぇ・・・、皆さまに大変残念なお知らせがあります。」




そう女性陣に告げると、イリスたちが何か察したような顔になる。




「気を取り乱さず聞いてくださいね。タ ン サ ン ジュースの材料のベリーが尽きました。つまり、もうタ ン サ ンベリージュースは飲めません!! 」




その言葉にアルテシア、イリス、ミユの目から光がなくなり虚ろな目となる。6つの目からの無言の訴えに僕は答えることができなかった。




 ベリーを採って来てやりたい気持ちもあるのだが、獲りに行こうとすれば、またあの不気味な笑い声の少女に襲われる危険がある。




前回は、運よく生き返ることができたが、また次も生きて帰れるとは限らない。




だが、炭酸の刺激を与えてしまったことにより、起きた中毒をこのまま、放っておいてはあまりにも酷すぎる。




そうして、何か代わりになる者はないかと考える。すると、家の中から仄かに香ってくる匂いから、インスピレーションが湧くのであった!!

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