第二二章 科学
305.アキラ、電解する。
スキル【自己再生】により、三途の川を見るほど瀕死に成りかけていたとは思えないほど、元気に満ち溢れていた。
その元気を僕はあることに費やす。
「主、すっかり元気に成られましたね。も、もしかして、私の薬が効きすぎたんでしょうか!? 」
ミユは冗談を言いながら、外で錬金術の道具を準備してくれている。
今日は絶好の錬金びよりだよ、本当に。そう思いながら、ミユと一緒に楽しい錬金術を始めていくのであった。
「へへへ、ミユさんや。すげぇもん見せてやるからなぁ・・・。」
暗黒微笑をしながら、アルテシアに水を出してもらう。それに食塩をぶち込んでいく。食塩をよくかき混ぜていくと食塩水の出来上がり。
さて次に用意するのは、銅の金具幸いにもミユが持っていたものを使っていく。それと油。
皮手袋をして、それを左手と右手にそれぞれ持ち、食塩水につけて魔術で電流を流す。
『シュワァ・・・。シュワァ・・・。』
微弱な炭酸特有の音を立てながら、シュワシュワと泡が浮かび上がってくる。片方の手の方からは、プールの匂いがしてくる。
「くっさぁ・・・。」
「主、これくちゃいです・・・。」
ミユが少し離れたような気もするが、まぁ、それもそのはず、塩素なので、その反応は正しい。僕はというと、布で鼻を覆っているのが、一応安全に心がける。
もう一方の手の方からは、多分、水素が出ている。
中学の時にやった以来の食塩水の電気分解、いや、まさか異世界に来て、この知識が役に立つとは思っていなかった。
そうして、小一時間ほど電気分解した水溶液の上の部分を掬って捨てて、残った水溶液を加熱していく。そうすると、白い粒のようなものが出てくる。
その状態の水溶液をイリスの魔術で冷ましていく。冷え切ったそれをゆっくりとオイルに混ぜて撹拌していく。
ちょっと休憩。
30分ほど休憩したら、また撹拌していく。それを何度か繰り返していく。良い具合になってきたら、手ごろな容器にいれて、一日寝かせて、取り出して、乾燥させる。
このまま、一週間ほど乾燥させれば、石鹸として利用できる。異世界で文明的なものを作ったなぁーー。と感慨に浸っていると
精霊さんが、
「宿主、おめでとうございます。スキル【置換】を獲得しました。これにより、空気中の気体を少量ですが、取り出すことが出来ます。」
と報告してくる。
その言葉を聞いて、僕は何かを閃く。その閃き、食欲君が反応する。
そして、さっそく獲得したスキルで、もう一度先ほどの電気分解した水溶液を作るのであった。
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