306.アキラ、発泡する。
まずは、アルテシアにまた魔術で、水を出してもらいながら、イリスにその水を冷してもらう。
そこに、スキル【置換】を使って、二酸化炭素を空気中から取り出し溶かしていく。
しばらくすると、ただの水の中に水泡が、徐々に浮かび上がってくる。少しだけそれを飲む。
うん、ちょっと苦い。だが、微弱ながら炭酸の弾ける感触が口の中に広がる。
ミユたちが物ほしそうにその水を飲みたがっていたので、少しだけ飲ませてみる。
「苦いです・・・。」
「おいしくないですわ・・・。」
「んんん、苦いけど。口触りはいいわね。」
と彼女らの反応は、様々であった。
まぁ、味の付いてない炭酸水は、まずいからなぁ・・・。
それはそうと、先ほど電気分解した水溶液に、作った炭酸水を十分に溶かせば、炭酸ナトリウム水溶液が完成する。
これを、レッツ! 加熱していけば!!
ついに、出来上がる。炭酸水素ナトリウム、別名「重曹」の完成の瞬間である。
やっと完成した重曹に、僕は独り喜びを噛みしめる。一方のイリス、アルテシア、ミユは、ぽかーんとその様子を眺める。
あまりピンときていない彼女らにこの素晴らしさを伝えよう。収納の魔術の中に保存していた。ベリー類を取り出して、
「レッツ!! パウワァアアアアアアアアアア!!! 」
そう言って、渾身の力を込めて、ベリーの果汁を絞って、果汁100%の原液を重曹にぶち込む!!
『シュワシュワシュワシュワシュワシュワシュワシュワシュワシュワ!!! 』
と真っ赤な果汁の中から、炭酸の泡が出てくる。果汁に含まれていたクエン酸と重曹が化学反応を起こした。
シュワっとが落ちつくと、その液体をコップに移して、イリスに氷を生成してもらえば、
「はい、完成!! 冷えたベリー炭酸ジュース!! 」
グッと!! 冷えたその刺激は、口の中でシュワって弾ける!! そして、ベリーの酸味とベストマッチして、最高の炭酸飲料であった!!
「ゴクゴクゴクゴクッ!! ・・・くぅ~~~~!!! 」
一気にそれを飲み干す!!
そして、後からくるあの感覚・・・。
「ケプ・・・。あああああああ、これよ! この刺激!! やっぱり、最高だ!! 」
先ほどと同じように彼女たちは、その刺激的な飲料水を飲みたそうに見つめる。僕は、しょうがないなぁ・・・と得意げに、パウワァァァして果汁を絞って、また作る。
絞っている間に、アルテシアがテラとまゆきも呼んできていた。
「アキラさん、それはなんですか、なんですか? 」
とテラは目を輝かせながら、炭酸ジュースを見つめる。だが、皆、シュワシュワと弾け発泡している液体に恐れを成したのか、一向に飲もうとはしないのであった。
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