289.アキラ、切りとる。

 ついに、頭お花畑な幻覚を見始めたと自己嫌悪していると、




「宿主、おはようございます。一応、言っておきますが、それは幻覚ではございませんよ。」




精霊さんが、釘を刺す。




「あっ! なんだ、やばい幻覚じゃないのね・・・じゃあ、こう見えるのはなんで・・・。」




そんな疑問が思い浮かぶ。すると、精霊さんは補足説明をつける。




「多分、思考をラーニングしたことにより、ハチの喜怒哀楽が理解できたことによるものでしょう。」




冷静な分析で、この状況を説明する。




あっ・・・、僕の勘違いかと理解して、再び陽気なハチちゃんを見つめる。すると、ハチは僕のことに気付いたのか、虫カゴの中で威嚇する。




「ハリゲブロ!! ハリゲブロ!! 」




何言ってるか、わかんないけど多分怒ってるなとわかる。そんなハチちゃんを落ちつけるため、木の枝を線香のように先っちょを燃やして煙を近付ける。




ハチの習性で煙をかけると攻撃性がなくなり、その瞬間、ハチちゃんは威嚇を解き大人しくなる。




これは、いいことを知ったと思い、これをハチの巣でも応用できないかと考える。それに、気温が低いとハチたちは活発に活動しないこともわかった。




以上のことを踏まえ、再びハチミツ採取へと準備をするのであった。




 明朝、周りはまだ薄暗く夏とはいえ、森の中は少し肌寒い。そんな中をハチミツ装備で進んでいく。そうして、ハチの巣の近くへと到着したら、ハチちゃんを逃がしてあげる。




「いろいろありがとうね。この後、君んち凸するから。」




声をかけると、ハチちゃんは




「リゲブロハ!! 」




多分、怒りながら去っていく。それでは、さっそく枝木を集めていきますか!!




ハチちゃんに感化されたのか、陽気な口笛を吹きながら落ちている小枝を拾っていく。なるべく乾燥してそうな枝でなければ、うまく火が付かない。




やがて、両手いっぱいの枝木が集まる。




 それでは、




「レッツ!! ファイヤァァァァァァァァァァァ!! 」




そう言って、ハチの巣に突撃し、枝木に火をつけて煙を出す。しばらくすると、ハチたちは、大人しくなり巣へと引っ込んでいく。




どうやら、うまくいったようだ。




そして、巣の中を覗くと、黄色い六角形のハニカム構造の巣板がお目見えする。甘い香りが鼻孔をくすぐる。




所々、蓋をされているが、これは蜜蓋といってハチミツが詰まっている状態であり、糖度が高い証拠である。




その巣板の3分の1ほどをナイフで切りとって、持ってきていた鍋に入れて退散する。




ようやく、念願のハチミツの元をゲットするのであった!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る